この国の危機は下僕意識のない官僚たちの認識にある。

  確かに官僚や公務員は行政に携わる吏員だ。この国の国民に奉仕する行政職を奉じることにより、国民の納付した税や負担金から俸給を頂戴して暮らしている。しかし昨今の官僚たちにそうした意識は希薄なようだ。


 たとえばつい先日、原子力安全・保安院の外郭団体で原発の安全・管理を司る独法がその下請け民間企業の提出した報告書を表紙だけ変えて丸々コピーし経産省管轄の原発保安院に報告していたことが判明した。それも去年だけではなく、何年も代々行われていたと判明している。これで原発が安全なわけがないではないか。


 だが、こうしたケースは決してレアなものではなく、道路の空洞調査を行う独法があったように枚挙にいとまがない。多くの外郭団体は本来行政が為すべき仕事を「作業外注」もしくは「外注委託」として独占的に独法なり公益法人に丸投げし、そこが官僚たちの天下り先になっている場合が殆どだ。


 


 この国の危機とは何か。すぐに評論家たちは財政危機だとか、普天間問題でぎくしゃくした日米関係を挙げるが、そんなことは単なる現象的なことでしかない。それなら日本の国家財政が好転すれば危機は去るのだろうか。ユーロ危機や米国のデフォルト危機が去らない限り、この国が安泰だとはいえないだろう。更に言及すれば原油市場への投機や小麦市場への投機から為替市場への投機に到るまで、投機家たちの独善的な「自分さえ儲かれば世界的な物流システムや、その末端にいる多くの国の国民生活がどうなろうと知ったことではない」という儲け第一主義も世界の未来に対する大きな危機ではないだろうか。


 


 普天間が日米の危機だというのはどうかしている。米国は日本国内に駐留する米軍が何処を基地として使用するかは日本政府のハンドリングに従うのが本筋だ。米軍の戦略的な思惑は日本政府と日本国民の上に位置するものでは決してない。なぜなら日米安保条約は主権在民の日本国民の意を挺して日本政府が米国政府と締結しているモノに過ぎないからだ。普天間基地移設に関してまずは現地沖縄住民の総意を無視して、日本政府が勝手に決められるものではないし、公有水面埋立法では現地自治体の承認がなければ出来ない仕組みになっている。米国も法治国家なら日本国の法を熟知しているはずであり、日本政府が無理を承知で袋小路へ懸案を突っ込んでいることを承知の上で「早くしろ」と言っているに過ぎない。つまり普天間基地に関する危機は鳩山氏の意を裏切って辺野古を主張しろと米国と腹合わせをした官僚たちの危機に過ぎない。日本国としては「普天間基地は現地住民にとって人道的でない基地だ」と移転・返還を主張すれば良いだけだ。事実、沖縄米軍は日本防衛というよりも半島の危機に対するためであり、韓国防衛シフトのために駐留しているのだ。韓国から頼まれてもいない韓国防衛のために、日本が「普天間基地の危険性」を負うべき道理は何処にも存在しない。


 


 日本の危機とは官僚たちの下僕意識なき認識にこそある。彼らの独善的な振る舞いとシロアリ的な財政食い潰し構造にこそ危機が存在している。この国家危急の東北日本大地震・津波被害に対してすら「復興庁」を造らなければ本格稼働しない、と復興のために汗を流すのではなく政治家の尻を叩いて「復興財源のための増税」と「焼け肥りのための復興庁創設」に10ヶ月もかけたのだ。


 彼らは東京の霞ヶ関に復興庁を設置して従前の制度事業の補助金「お恵み要請」陳情行政を繰り広げようとでもいうのだろうか。東北の各県や地方自治体から担当者を東京にお登りさせて、自分たちが机にふんぞり返って「査定」してやろう、という意識なのだろうか。これほど主客転倒した事態もないだろう。バカバカすぎて笑う気にもならない。


 


 この国の最大の危機は税や負担金を支払う国民に対して、その税や負担金を自分たちの利権と勘違いして省庁や自治体の奥の院にふんぞり返っている官僚たちや公務員たちと国民の対立構造にある。自分たちこそが政府・政党の上に君臨していると勘違いしている官僚たちの横柄にして横暴さは目に余るが、しかし実態が日本国政府は霞ヶ関官僚たちのシモベになっているのだから仕方ないだろう。


 財務省は「この国は国と地方で1000兆円もの借金があり、国民一人当たり67数万円の借金がある」というが、そんなのは大嘘だ。1000兆円の赤字国債を94%も引き受けているのは日本国内の銀行や生保などだ。つまり国民の銀行預金や生保掛け金で国債を買っている。図式的に言えば銀行や生保を通して国民が国債を買い支えているのだ。官僚たちは国民に対して借金があるが、国民は官僚たちにカネを貸しているのだ。財務省は国民に対して「大金を国民から拝借しているが、返済のために官僚や公務員の歳費縮減に努める」とお断りをまず述べるのが本筋ではないだろうか。


 


 大手マスコミも国民の購読や視聴によって支えられている。いかにスポンサーが番組にカネを払おうとしても、国民が視なければスポンサーを降りるだろう。国民あっての社会だという認識がなければ、大手マスコミも成り立たない。その国民を「愚民だから知らしむべからず」として実態不明な東京第五検審会を闇の中に閉ざしているこの国の司法当局も「主権在民」の意義を噛みしめるべきだ。この国の司法は「小沢事件の捏造」により危機に瀕している、との認識なき当局者たちこそ危機なのだ。


 いまや小沢氏の公判を通して石川氏の供述調書に基づいて作られるべき事件報告書が担当検事の捏造により石川氏の供述調書にないことが書き込まれていることが判明している。その事件報告書を実態不明な第五検審会は小沢氏の不起訴の適否判断の重大な要素としている。担当検事の偽造公文書が第五検審会に提出されていなければ小沢氏を起訴すべきとの判断はなかったと思われるが、いずれにせよ事件報告書を検察当局が捏造し、それに基づいて判断した強制起訴は無効だと、多くの国民がネットにより共通認識として抱いている。


 近々実施される衆議院選挙ですべての最高裁判所判事の適格審査でバツを付ける国民運動が起こらないとも限らない事態に直面しているという認識がないのが司法当局者たちの危機だ。あまり「国民は何も知らないから何をやっても良い」と腹を括って国民をバカにしないことだ。危機はこの国の腐臭を放っているアンシャンレジュームのそこかしこにこそある。



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