おざなりな歳費削減ではなく、世界との比較をキチッとせよ。

  この国だけの特殊性のように謳っている部分に、相当な誤魔化しがあると思われる。その最たるものが議員たち公務員特別職の歳費だ。


 歳費の支給額を検討する場合は、議員が何たるかの位置づけをまず確立しなければならない。米国では議員はボランティア活動の延長で捉えられていて、国家そのものも国民一人一人の集合体の州が連立したものだという考えが強い。だから小さな村や町では議会そのものがなく、オンブズマンがボランティアで公的支出の妥当性や金額の合理性を判断している。


 


 日本の地方議員も町村はそうでもないが、市になると目玉が飛び出るほどの歳費を頂戴しているところが少なくない。そうすると、議員とは何なのか、という議論をまず有権者は喚起しなければならない。高額な報酬と特権的立場を手に入れたいがために立候補するのではなく、行政のチェック機関として住民代表が議会ですべての行政的手続きを審議し、その妥当性と正統性を判断する適者を選ぶ選挙でなければならない。


 


 市議会議員の歳費もさることながら、都道府県議会議員の歳費は驚くべき水準にある。また国会議員の悪弊を真似ているのか、大卒初任給以上の高額な政務調査費を支給しているところが殆どだ。


 議員歳費が多額なのは単に議員に対する高待遇が問題なだけではない。議員と雖も人間だから高待遇に最初は戸惑うものだが、すぐにその特権を手放したくないと思いだす。それが問題の根本なのだ。


 


 議員に与えられている歳費をはじめ様々な特権は地域住民や国民の負担の上にある、という認識を持たなければならないが、実際は特権を手放したくないがためにチェックすべき公務員たちと「タックスイーター」の仲間意識が芽生える。そこが基本的な問題だ。


 最初はボランティア活動で始まった地方自治体の外郭各種団体が、そのうちボランティア事務所へ出向く足代として「公務員の旅費規定にある程度の足代を貰えないか」ということから始まり、「公務員の日当規定による報酬程度は貰えないか」となって行き、いつの間にか公務員に準する待遇になっていたりする。


 


 議会で審議する議員たちも有権者に甘く、ついつい「公務員に準じる仕事をしていてボランティアはないだろう」と手当支給に寛大な判断をしがちだ。それも自分たちが実稼働日数の働きに見合わない高待遇を手にしているからだ。


 岡田氏が国会議員の歳費を8%程度の削減を提案したいとしているようだが、8%の根拠は何だろうか。公務員給与を7.8%削減するから8%というのは何ら根拠にならない。


 


 そもそも民主党の2009マニフェストでは公務員給与を2割削減するとしている。国民との約束をことごとく反故にして、政権の中枢に座っている椅子の座り心地が悪くないのだろうか。岡田氏は2009マニフェストを反故にした時の幹事長として責任重大だ。それがまたしても副総理格で政府の中枢に座り、8%削減とは実にいい加減な岡田氏の言いだしそうないい加減な数字だ。そうした小手先の改革ではなく、愚直に2009マニフェストをなぜ実現しようとしないのだろうか。2009マニフェストの公務員給与削減を実現すれば消費増税は必要なく財源は出る。この時期に増税とは政権運営を行う者として、その視線は国民生活の上に注がれているのではなく、財務省の顔色ばかり窺っているとしか思えない。


 


 馬鹿なテレビなどに出演する評論家が財政悪化すると国債の格付けが下げられ、国債金利が上昇して更に国債の格下げが行われて遂には日本政府はデフォルトに陥る、と消費増税の大応援プロパガンダを繰り返している。


 日本国債はイタリア並みの格に下げられているが、国債金利は上昇しただろうか。日本円は国際金融市場で信認を失って円安の坂道を転がり落ちているだろうか。


 


 世界は日本の膨大な国債残高を「コップの中の嵐」だと見做している。ガラガラポンすれば日本国内で多少の金融混乱はあるかもしれないが、世界各国の金融機関に対して大した影響はない、とみているのだ。ギリシャ国債の格下げによりベルギーに本拠地を置く欧米でも大手金融機関が破綻したが、日本国債が暴落したところでそれは日本国内問題でカタの付く問題でしかない。欧米各国はそう見ているのだ。だからいかに日本国債が格下げされようと国債金利が上昇して破綻の坂道を転がり落ちることはない。


 


 この際、政府がすべきは行政の歳出削減努力だ。かつての自動車開発で厳しい排ガス規制に対処したように、行政のあらゆる無駄に切り込み体質改善しなければ税率をを幾ら上げようと財政は改善されない。なぜなら日本のすべての品目に同一税率を課している貧乏人直撃の消費税率の上昇は更なる社会格差と社会的不満を蔓延させるだけだ。その矛先は官僚たち公務員へと向かい、抜き差しならない事態に陥るだろう。そうしたことを未然に防ぐためにも官僚たちは野田氏や岡田氏や仙谷氏や前原氏たちの尻を「増税だ」と叩かないで、自ら襟を正して公務員の本分に立ち返ることだ。



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