米国の要請に従って「内需拡大」を叫んでいたのは誰だ。

 つい先日まで輸出は他国に迷惑を及ぼす悪であり、内需拡大こそ望ましいと論陣を張っていたのは日本の大手マスコミではなかったか。その幇間評論家もテレビで同様な発言を繰り返し、企業経営者は工場や会社の海外移転こそ利益確保に必要だ、いやそれこそ世界戦略経営だと持ち上げていたではないだろうか。その結果が31年ぶりの貿易赤字だ。つまり日本が構造的に貿易赤字体質になるべく企業の体質改悪を延々とやってきた結果でしかないのだ。


 


 先日このブログに書いた。かつてGDPの3割近くを締めていた貿易取引が14%と半減し、韓国や中国などが軒並み36%を超えているのと比較して「貿易立国」とはいえない状況に陥っていることに危機感を覚えない政治家は国家の全体像が見えない人たちだ。そして米国は集中豪雨的に米国市場へ輸出する中国や韓国に対してかつて日本に対して行ったような「スーパ301を発動するゾ」と脅さないのはなぜだろうか。あの国のダブルスタンダードは戦争に対してだけでなく、輸出に対しても露骨だ。


 


 ドイツですら対GDPに占める貿易割合は35%を超えているし、あの経済停滞国家のイギリスですら18%と日本を超えている。「内需拡大」と馬鹿の一つ覚えのように叫んでいた御用経済評論家は罪の大きさを認識しなければならない。そして中国や海外で縫製して日本で安売りを展開する企業を持ち上げてきた大手マスコミも反省することだ。彼らの扇動によって消費者がそのような「利益をあげれば何を選択しても良い」という風潮に乗ってそうした企業の商品に流れ、その影響で国内企業が何社倒れたことだろうか。日本国内の高い縫製技術が廃れ、国内の製品開発力が損なわれた現実を直視して「安直な利益確保」戦略が実は日本国内産業力を著しく殺いできた経過を反省しなければならない。


 


 海外移転した工場や海外委託した作業を国内へ戻すことに日本政府は補助金を出すことだ。その前提として為替相場が投機対象とされている国際金融市場に日本政府は警鐘を鳴らさなければならない。通貨交換レートは貿易実態に即して行われるべきだ。投機家たちのもうけの一手段として「自由」に放置しておくことは一握りの人たちの儲けのために国家経済に甚大な影響を及ぼす実例をあげて、日本は世界各国に「規律ある為替レート」を提言すべきで、それが出来なければ日本は中国と同じように一定の固定幅の中に「円価格」を抑え込むと宣言して実施すべきだ。


 


 年間を通じて貿易赤字になった事態は極めて深刻だ。日本は貿易立国であったものを「内需拡大」という掛け声で根本から崩してきた勢力に対して「あなた方の行為は国家に対して反逆的である」と非難しなければならない。そして日本の大手マスコミに「内需拡大」と言わしめてきたのは米国だったことも忘れてはならない。単細胞的に米国の言に従うのではなく、官僚文化の面従腹背の精神を企業家たちも学ぶべきだ。日本には日本としての国家戦略があることを忘れてはならない。



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