すべてがTPP参加で打開できるとする社説こそまやかしだ。
本日(11/12)付の読売新聞は一面の論説で「開国TPP」と銘打って副題に「逃避より雄飛の国に」と掲げた。何のことかと思って読むと噴飯ものの幻想を展開しているだけに過ぎなかった。
論旨はTPPに参加しなければこの国から企業が海外へ逃避して日本は衰退すると決めつけている。まさしく噴飯ものの論理を展開しているのだ。
この国の企業が海外へ展開しているのは様々な理由からだ。安価にして豊富な労働力の確保が見込めるというのもあれば、法人税率が日本より低いというのもあるだろう。日本の電気料金が世界各国と比較してズバ抜けて高いというのもあるだろう。そして今度の異常な円高に対して無策な通貨当局に絶望して海外へ移転を決断した企業もあるだろう。
新聞各紙など大マスコミが大合唱するほど工業輸出製品で米国の関税率が問題になっている企業や業界がどれほどあるだろうか。すでに自動車や電化製品は国内生産比率を下げているし、米国輸出製品は概ね米国内の工場で生産している。それも米国のジャパンバッシングという米国の国力を圧力として不平等な価格競争を日本に強要した結果だ。米国の対日関税率が問題だというのなら、なぜ実質的に関税率と化している円高ドル安を日本政府や大マスコミは問題としないのだろうか。その実質関税率は30%を超えているというのに。
さらなるピンと外れの議論が「外国の投資を呼び込む」という論だ。日本に外国企業投資・投機資金が何を目的として入って来るというのだろうか。日本国内企業の乗っ取りや株式投機を仕掛けて株式市場で一儲けしようとする連中ばかりではないか。参入障壁となっている「外為」などの法規を取り払って米国禿鷹投機家たちが入り易くなっても日本にとって碌なことはない。むしろ御付き合いしたくない連中だ。
米国流の投機や企業買収や短期利益実現型の経営が結果として米国社会に何をもたらしているか、を仔細に検証した上で大マスコミたちはTPP大歓迎の大合唱をしているのだろうか。既に東アジア諸国とはアセアン2ブラスなどの自由貿易協定の枠組みを作っている。それを日本がイニシャティブを取って推進する方が遥かに良いだろう。実質米国との2国間協定に過ぎないTPPを足掛かりとして米国は東アジアの貿易に割り込もうとしているに過ぎない。態度のデカイ恥知らずが、意のままになる日本を利用して東アジアの貿易の果実を奪い取ろうとしているに過ぎない。中国も膨張・覇権国家だが、米国はそれを現実に世界各地で実行している暴力国家だということを忘れてはならない。大マスコミはTPP賛成の大合唱をしていることを10年後に国民に謝罪し後悔の臍を噛む事態にならないように祈らなければならない。