国民の命と財産を守るのが国の一義的使命だ。

  日本財団が主催した会議を受けて笹川陽平氏が産経新聞(11/29付け)紙面の「主張」で< 「福島の状況はチェルノブイリに比べ限定的で被曝(ひばく)線量も低く、怖がる必要は全くない」、「福島の子供たちの甲状腺での線量は低く、このレベルで何らかのリスクがあったケースはない」-。日本財団がこの9月、福島県立医科大で開催した「放射線と健康リスク」に関する国際会議に出席した内外第一線の専門家は、2時間を超す長時間記者会見でこう言い切った。>と書いている。


 


 これまでも放射能汚染被害はそれほどでもないのではないかという学者の意見は出ていた。しかしこれほど踏み込んだ意見を医師や専門家が語るとは驚くべきことだ。さらにその下段の記事を読むと<年1ミリシーベルトとなると世界平均で年2・4ミリシーベルトとされる自然放射線との兼ね合いも出てくる。国際会議でもICRPのゴンザレス副委員長はインドをはじめ世界各地に高い放射線を発する地域がある点を指摘、「年20ミリシーベルトは危険な数字ではない」と語った。


 今は平時ではない。依然、非常事態が続いている。1ミリシーベルトは平時の目標値であり得ても、非常時の選択としてはあまりに実現困難な数字ではないのか。当初の5ミリシーベルトならともかく、1ミリシーベルトに広げたことで、復興への道のりが見えなくなったような気さえする。英紙フィナンシャル・タイムズも11月10日付の特集で、仏核物理学者の見解として、住民が避難すべき基準を年10ミリシーベルト以上とするとともに1ミリシーベルトを「非現実的」と指摘した。>と笹川陽平氏は書いている。


 


 そして上記の結果を基に、笹川陽平氏は<事態を前進させるには、学者・専門家が広島、長崎やチェルノブイリのデータを基に「信頼のおける統一見解」を示すことで、国民の不安を少しでも緩和するしかない。会議では「自分たち科学者は住民が分かるようなコミュニケーションがうまくない」との反省の言葉も出た。専門家は今こそ被災地に入り分かりやすい言葉で住民の疑問に直接答えるべきである。住民が不安から故郷を離れるのは原発事故の最大の悲劇である。福島県民の絆を保つためにも国、自治体、専門家は一致して協力する必要がある。>と結論付けている。


 つまり福島県が無人化する方が問題だとして、一日も早く被災住民が住所地へ戻り放射能被害そのものを一日も早く収束させいた意図が明らかだ。


 


 どんな学者がどんな専門的な意見を発表しようと、放射能汚染被害が皆無でないのは明らかだ。ただ個体差や年齢差があることも併せて報告されている。その何処を以て全体的な放射能汚染レベルが安全なのだと結論付けても仕方ない。それらは為にする意見としか受け止められない。言えることは東電の福一原発事故がなければ放射能汚染はなかったという厳粛なる事実だ。そのことを除いて、このレベルなら安全だとか、このレベルまでなら住民が帰っても問題ないはずだ、とか結論付けるのは科学的ではない。それらは極めて経済的・政治的な発言だ。


 


 日本財団は笹川一族が好いようにしてきたギャンブル団体の慈善部門だ。その潤沢な資金力で福祉事業に貢献しているが、その一方で政治に影響を与えるような会議を開催して国民や福島県民に誤ったシグナルを発するのはいかがなものだろうか。


 ギャンブルは国民が求めるから一定の管理の中で認めようというのが真意で、小型船舶による競争ギャンブルは「戦後復興」のために地方自治体の財源とすべきとされ認められてきた。しかし、一体いつまで戦後復興が続くのだろうか。そろそろ政治家は小型船舶を用いた競争ギャンブルに本筋を通すべき時期ではないだろうか。ギャンブルに興じて一家離散の悲劇に見舞われて話は良く聞くが、ギャンブルで大穴を当てて財を築き幸福に生涯を送ったという話は寡聞にして知らない。日本は基本的にギャンブルを禁じている。地方自治体の財源に博奕場特区を認めよ、というバカな意見も時々登場するが、人を不幸せにする確率の大きい施設を国や地方自治体が認めることの何処に本来の政治の役割があるだろうか。政治とは国民の幸せを考える作業のはずだ。


 


 些少なりとも放射能汚染による健康被害が心配されるなら、その最大限の除染を行うのが放射能汚染を起こした当事者責任だ。その当事者に東電と並んで国がある、というのなら国家財政が破綻しようと除染を徹底して行わなければならない。国家とは国民の生命と財産を守るべき存在だ。それが大きな顔をして税の徴収と国民負担ばかり求める議論にうつつを抜かしているとは本末転倒だ。そして、ギャンブル団体の下部組織が大きな顔をして「放射能は安全だ」といわんばかりの会議を行うとは恥を知るべきだろう。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。