「正論」とは見識を異にする。世界は米国流と反米国流との対立だというのは余りに稚拙だ。

  正論氏は世界を米国のグローバリズムと非米国のナショナリズムの二項対立だと規定した上で、グローバリズムは世界秩序を構築しようとしているが、非米国のナショナリズムは何をしたか。ナショナリズムは勝手気儘に振る舞うため、世界はグローバリズムの秩序を押し広めるだけしかない、かのような議論だ。


 しかし米国流のグローバリズムが正しいのかどうかという問題がある。米国にとっては好都合な仕組みなのだろうが、少なくともサダム・フセインやカダフィにとって望ましいものではなかった。そしておそらくアフガンのタリバンに於いても望むものではないだろう。しかも、望ましい世界にしようと米国がフセインやカダフィを血祭りにあげアフガンに攻め込んだが、米国内では99%の反乱がおこっている。


 つまり米国流のグローバリズムは米国民すべての総意を満たすモノではなく、米国の1%の人たちに奉仕してきたに過ぎないということではないだろうか。


 


 米国の1%の人たちは99%の人たちからなる軍を動員して軍事的な世界秩序の構築と、1%の人たちの金融力で世界のあらゆる金融資本に介入してきた。その結果として何が世界にもたらされているだろうか。世界の人類はより多くの幸福を享受しているだろうか。


 米国流の軍事力による「気に食わない連中の抹殺」と1%の人たちによる「儲け至上主義の投機」による金融秩序の破壊は米国に嫌悪感をもたらした。投機とは秩序の破壊によりもたらされる歪みで儲ける行為だ。正常な資本投下とは性質を異にするもので、相手国に対しても弊害のみをもたらす。リーマンショックだけでは足りないと見えて、米国流のグローバリズムは相手国の内部にまで入り込んで相手国の文化や社会までも破壊して歪みを与え、そこで大きく儲けようとしているようだ。それが今回の対韓国のFTAの正体であり、対日本のTPPの正体ではないだろうか。


 


 米国は第二次世界大戦の戦勝国(中国だけは別物だ。現在の中国は1948年に建国されたもので戦勝国ではないが、ちゃっかりと常任理事国に入っている)による仲良しクラブ「国際連合」により世界秩序の構築を試みたが、それが中国や露国の反対にあって頓挫すると、勝手気儘に軍事行動を仲良し国と共同して展開してきた。しかし、それもすでに限界だ。軍事行動は飛翔に大きな財政支出を伴い、兵として出動した国民の多くに死傷をもたらすため勝手気儘な行動に限界点が見えてきた。米国はある意味焦っている。世界秩序形成は達成できていないにも拘らず、米国の財政が限界点に達したのだ。すでにアフガンからも撤退せざるを得ない状況だ。


 そこで米国流の軍事力で敵対する国の指導者を排除するやり方を改め、今度はたとえ仲間の連邦諸国からでさえ金品を巻き上げることにしたようだ。恐喝すべき相手を軍事力で刃向う相手から標的を変え、仲間として共同歩調を取っていた国々に米国流を押し付けて来たのだ。しかし隣国のカナダは逸早く米国流の正体に気付いて逃げ出した。日本や韓国はまさに米国流に呑み込まれようとしている。そしていま、米国に阿る幇間学者や評論家が米国迎合の論調を共同で張っているに過ぎない。


 


 そもそも世界秩序があると考えるのが根本的な間違いではないだろうか。それぞれの国にそれぞれの国民の暮らしがあり、彼らには彼らの文化と慣習がある。それが米国流でないからと排除するのは間違っている。


 たとえばタイルを壁に貼るのに、単一の壁もそれなりの景観をもたらすが、モザイクのように各種の色と大きさの異なるタイルを貼るのもそれなりの秩序ではないだろうか。世界とはモザイクで形成される秩序なき秩序ではないだろうか。そこに「戦勝国」の秩序を押し付けてもならないし、一大国のやり方を強いてもならない。


 世界の国々には世界の国々のやり方がある。それを理解しなければならないだろう。自分の気に食わない国は殲滅すれば良い、というのこそ世界にとって迷惑千万だ。それぞれの国家にそれぞれの国民がいて、そこには一定の秩序ある付き合い方があるのは論を俟たない。


 


 超大国が号令をかける、という図式こそ第二次世界大戦直後の戦勝国が図体の大きさを競った帝国戦争時代の残滓に過ぎない。そんな軍拡ごっこのバカバカしい固定観念から脱却して、もっと自由な空気を吸おうではないか。日本はどの国からも束縛されない自由な独立国家のはずだ。米軍の駐留が当たり前だと論じる似非軍事評論家が跋扈する被占領国家から脱却して、日本も新時代へ踏み出そうではないか。日本を護るのは日本国民だと国民が共通認識を持てば、米国流のやり方が、実は飛んでもない米国1%の独善の押し付けだと分かるに違いない。



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