TPP反対は根拠なき不安ではなく、TPP推進こそ根拠なき暴挙だ。

  TPPは24分野にも及ぶ関税撤廃の協議だ。関税とは何も税関における課税だけではなく、相手国内の法規制が「恰も関税の課税と同じことだ」と見做せば撤廃の協議に入る、もしくは損害を受けたとして訴えることができる、とする条項があるとすれば大きな問題なのだ。


 


 米国はグローバルスタンダードと称して日本の市場開放を迫ってきた。その内の一つ、派遣業法の規制撤廃が国内労働問題で何を引き起こしたかを考えてみることだ。米国流が日本にとってすべて歓迎すべきことではない。日本の伝統的な「終身雇用制度」を徹底して破壊したことが、この国の社会的安定度をどれほど毀損したか考えれば米国流が良くないことは明白だ。


 


 さらに多くの顧客を集める量販店などは非常時避難体制の確立を消防署などは求めているが、大規模量販店に置かれている正規社員が店長たった一人というのは珍しくない現実がある。たとえお客の避難誘導など定められた避難訓練をしても常時労働者が入れ替わっていては非常時に何の役にも立たない。


 


 この国の社会規範が崩れている現実を政治家たちはどのように考えているのだろうか。東京のある量販店が放火されて突然の悲劇に見舞われた時、焼死した被害者がアルバイト店員だった現実を失念していはしないだろうか。その悲劇の後に量販店の正社員設置人数割合等が法により改定されたとは寡聞にして知らないがなぜだろうか。


 


 利益を出すために企業がデフレ経済下に取る対策で最も簡単なことは人件費削減で正規社員割合を減らすことだ。無能な経営者ほど短期的な利益確保に走る。正規社員の削減はそうした要請から世界に冠たる都市銀行でも行われ、窓口業務の大半は派遣社員だといわれている。こんな社会で本当に良いのだろうか。こんな企業が日本国内に溢れ、国民の格差が拡大する社会が日本の目指す望ましい社会だろうか。お蔭で生活保護者が戦後の混乱期と同程度まで増大した。野田氏は小泉・竹中政権が推進した米国主導による構造改革と同じ轍を踏むつもりなのだろうか。


 


 TPPでは公共事業から金融や保険など様々な24分野に及ぶ。そのすべての分野で米国流が罷り通るとしたらTPPに抱く不安は根拠なき「オバケ」に怯えるガキのようなものだと笑うことができるだろうか。農業だけではなく、すべての分野について、政府は情報を開示して国民に懇切丁寧に説明しただろうか。大マスコミもTPP促進の社説を掲げているが、適切な24分野の情報とTPP参加協議後の日本社会のありようを国民に示しただろうか。大マスコミこそがTPP推進に向けた根拠なき安堵感を国民にばら撒いているだけだ。無責任の誹りを免れないだろう。


 


 関税障壁の完全撤廃を目指すのなら何もTPPに遮二無二突き進む必要はない。まず現在の大きな関税障壁となっている「円高」こそに何とかすべきだ。ドル安を放置している米国とユーロ安を打開できない欧州に為替管理のありようを提起しなければならないだろう。


 実貿易による通貨決済によって変動する本来の為替レートではなく、投機目的による通貨売買は厳格に峻別すべきだ。短期間に投機利益を確保するには大量の資金を動かして実貿易取引を大幅に上回る通貨売買を行えば為替レートを好きに操作できる。そうして相手国の経済と企業活動を破壊し、景気を悪化させることも厭わない禿鷹投機家の独善的な、あるいは犯罪的な収奪行為を規制する話し合いこそ、日本政府は提起しなければならない。TPP,TPPと騒ぐよりも日本政府は実質30%近い関税と同じ働きをしている為替こそ問題とすべきではないだろうか。経済団体が数%の工業製品の関税を問題とするなら、それこそ為にする議論だといわざるを得ない。



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