通貨統合だけのEUには最初から無理があった。

 EUは二度の大戦をくぐり抜けた欧州の平和を希求する手段として通貨統合をまず試みることから始めたのが欧州統合通貨ユーロの発足だった。暫時関税の撤廃から政治的統合まで拡大するのが最終目標だったが、最初の通貨統合の段階で留まっていることが今回のユーロ経済圏の危機に繋がった。


 


 ギリシアの危機は直ちにユーロ圏内の金融危機へと拡大した。それは同じ通貨を用いるユーロ圏の国家として欧州の主だった銀行がギリシア国債を大量に抱え込んだからだ。たとえギリシアが経済危機に陥っても同一通貨を用いる他の国々がギリシアを支えると思い、安心して大量のギリシア国債を保有した。


 


 確かに通貨は統合したが、国家の統合までやったわけではない。政治体制が異なればそれぞれの国で経済・財政事情も異なる。それらを統一通貨でまとめる方が無理がある。為替決済でユーロを用いるだけなら、国債基軸通貨ドルの代わりにユーロを用いるだけで何ら問題は起こらない。ギリシアが破綻しようとそれはギリシア一国の問題でしかない。しかし統合通貨となれば話が違う。ギリシアも通貨ユーロの信用を裏打ちしている国家の一つということになる。だからこそ、ギリシアを潰すわけにはいかないのだ。


 


 英国がユーロ圏から抜け出るのは英仏両国の歴史から見ればそれほど驚くに値しない。しかしサルコジ氏が「嘴を挟むな」と怒鳴りたい気持ちも分からないではない。犠牲を払わないで文句ばかり垂れるものの存在ほど鬱陶しいものはない。しかし政治的に成熟した欧州でも仏国首相という先進国として世界をリードする国家首脳の取るべき態度だろうか。窮すれば鈍する、というのでは普通の人物に過ぎない。窮しても鈍しない、平常心の人物が集まって欧州危機を乗り越えて欲しいと願うしかない。



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