普天間基地問題の主導権は日本国首相にある。

  田久保忠衛氏は普天間問題を沖縄とワシントンと東京のそれぞれの立場を理解した上で判断すべきで、沖縄県民が決めるものではないという。確かに防衛・安全保障問題は地域住民が嘴を挟むものではなく、国家対国家の防衛戦略上の立場から判断すべきだろう。沖縄の普天間基地問題を解決するには日本の国内問題であると同時に米国の世界戦略上の観点からも見なければならないのは確かだろう。しかし、それはあくまでも米国の都合だ。田久保氏は中国の拡張主義の危険性から東アジアを護るためには米国のプレゼンスが必要だとしているが、現在の中国の拡張主義がアジア諸国と軋轢を起こしているのは米国が沖縄から手を引いたからではなく、米軍が沖縄に大量に駐留している状況で起こっていることを失念しているのではないだろうか。


 


 局地戦すら米国は中国と起こしたくないと思っているのではないだろうか、と思わざるを得ないほど米軍は対中国に対して前線から退いている。尖閣諸島海域に中国監視船(と称する中国軍艦)が廻航していても米軍が表に出ることはない。


 米国と中国との関係を見れば米国は中国と事を構える気は起きないだろう。既に米国の投機家たちは大量の資金を中国に投資している。中国で得ている経済活動の権益を反故にするほど米国は腹を括っているわけではない。ここ一週間ほどで中国は保有する米国債の大量売りをやったとはいえ、未だに中国は日本と並ぶ世界で米国債を抱える二大大国の一つだ。


 


 米国は中国と事を構えるつもりはない、とみなければならないだろう。ただ、中国に対していつでも攻撃可能な立場を堅持して、中国がアジアで覇権を握るのを阻止したいのは確かだ。つまり対立しつつ決定的な戦闘状態は決して起こさずアジアを二分する超大国として中国と共存する道を選ぶしかない。米国はできれば中国を政治的に現在のまま中国一国に閉じ込めておくのが米国にとって最善の状態で、現状のままで推移したいと願っているだろう。


 しかし米国の思惑は日本の思惑ではない。現実に日本は尖閣沖のみならず領海の境にまで進出している厚かましい中国の振舞いに米国が対抗しないのなら、日本が対抗しなければならないのだ。あくまでも米軍はワシントンを支配する米国の利益のために行動するのであって、日本の国益を代行して行動するのではない。


 


 田久保氏は米軍こそが日本の安全保障に必要だとしているが、ではどこまで米軍が本気で日本の国土と国民のために身を挺すというのだろうか。米軍は米国の利益の為なら中国と事を構えるだろうが、米国議会を支配しているのは米国の金融利権屋たちだ。日米安保条約により米軍が戦闘行動をとるには米国議会の承認を必要とする。すべてはワシントンの腹三寸で米軍は動くのであって、日本の都合で動くのではない。


 日本にとって必要なのは日本国土防衛と日本の権益を守るのは日本の軍兵だと一日も早く日本政府が覚悟することだ。米軍なぞというあてにならない用心棒にいつまでバカ高い用心棒代を支払っているのだろうか。直接支給の2500億円のみならず基地提供などのすべての経費を計算すれば5000億円以上の用心棒代を自衛隊の増強に使うべきだ。米国の青年に支払うのではなく、日本の青年に支払うべきだ。そして日本により多くの自衛隊で訓練した国民を増やすことだ。国防を一握りの専門家に委任していてはならない。国民全体の問題として捉えなければいつまでも「9条の会」などという能天気な連中が大きな顔をして平和を唱えるのだ。


 


 日本がもたもたしていると米国は韓国に主軸を移すと主張するが、米国にとって韓国へ主軸を移す利益も積極的な理由もない。むしろ米国は韓国を経済的属国として支配している現状よりも韓国に踏み込む理由はなく、将来に南北統一挑戦が実現したら米軍は共通の敵として半島から排除されるのは目に見えている。それでも韓国へ米軍が主軸を移すなら、日本にとって日本国内に駐留するすべての米軍を韓国へ移転して欲しいものだ。そうすれば日本国内で本気で国防に関する国民的議論が沸き起こるだろう。田久保氏こそ米国中心主義的思考から日本中心へと切り替える時期ではないだろうか。いつまでも米国による被占領意識から抜け出ないで日本国防衛もないだろう。



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