公共事業の検証を行うのが政治家の使命だ。

 八ッ場ダムが着工して既に半世紀近くたっている。その間、流域で大した水害もなく東京都で断水に及ぶような深刻な水飢饉もなかった。それでも治水と取水を目的とする八ッ場ダムが本当に必要なのだろうか。よしんば必要だとして、東京都は本気で八ッ場ダムの水を都民に飲ませるつもりなのだろうか。


 


 すでに知られていることだが、八ッ場ダム上流では大量の中和剤を川の流れに注ぎ込まなければならないほど酸性の強い水だ。その中和化合物の沈殿物が八ッ場ダム上流のダムを埋め尽くそうとしている。そうした飲用に不適な水を中和してまで東京都に八ッ場ダムから引かなければならない状態が将来見越されているのだろうか。


 


 ここで断っておかなければならないのは八ッ場ダム本体はまだ手つかずだということだ。周辺事業だけでも当初全体予算の数倍も掛かり、年数も大幅にオーバーしている。しかも本体工事を強行しても八ッ場ダムに貯水するのが本当に可能なのか判然としていない。ダム周辺の地盤が脆弱で、貯水した水圧に耐えられず山崩れやダム崩壊をもたらす危険性があるという。それでも、ダムを建設した方が安くつくというのだろうか。


 


 官僚は平気で嘘をつく。公務員は自分たちの権益擁護のためには、自分たちの意に沿った意見具申をする学者を探してくるものだ。学識経験者という連中がいかにいかがわしいものか、原子力ムラの住人たちで国民は学習したはずだ。


 八ッ場ダム建設の方が安くつく、といった結論に達したと発表した連中は積算根拠とデータを開示すべきだ。そして積算した学者や学識経験者の名を公表すべきだ。彼らの見識に於いて「建設の方が安くつく」といったのだから、結論に達した根拠たる説明をじっくりと伺わなければならない。


 


 原発に関しても、あれほどの放射能事故を起こしておいて、それでも原発の発電コストは安い、と見え透いた嘘を繰り返したバカな学識経験者たちや評論家がいた。どんなに無知な国民でもこれから莫大な除染費用と賠償責任が原発に掛かると考えればべらぼうな発電コストになると、漠然とでも判る。八ッ場ダムを建設して水道事業を始めれば飲用不適用な水をどのように浄化すれば飲用可能となるのか、その方法とコストを示してもらいたい。それでも導管で東京都へ引水し、都民が飲用水として用いる方が良いというのだろうか。


 


 もっともらしい顔をして関係都県の知事たちが雁首を揃えていたが、彼らも国民に一度動き出した公共事業は決して止まらないものだと言うつもりなのだろう。すべては利権団体へ天下った官僚たちの懐具合を潤すためだと判り切っていても、だ。



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