会社を分割して叩き売るのは米国流のM&Aの手法だ。
郵政事業を民間の保険事業や金融事業や郵政事業などに分割して非効率な企業体に細分化するのを以て「郵政民営化」と称していたバカな政策を旧に復すという。慶賀の至りだが、自民党は反対で審議を欠席したそうだ。
民主的な手続きとして、反対なら審議拒否をして自民党議員全員が欠席するというのは戴けない。反対なら反対の論陣を張ることが必要だ。自民党の首相小泉氏が米国との行政改革要請に応じて補佐役の竹中平蔵氏と二人三脚で行った郵政改革の見直しだ。自民党に当然責任の一端はある。
郵政民営化で田舎の狭い郵便局でも窓口に仕切りが出来て、切手販売がどんなに忙しくても、暇な金融担当窓口は知らん顔を決め込んでいる。なぜなら所属する会社が違うからだという。
一社でできていたことを分割してたくさんの会社を作ることが「改革」なのだろうか。それで立ち行かなくなった田舎の特定郵便局が百年以上の歴史に幕を閉じて閉鎖してしまったりしている。その半面、街中の繁華な場所には簡易郵便局が郵政OBなどが引き受けとなって新規開店している。
実験的に行った民営化の見直しとして適宜を得た審議かもしれない。しかし簡保の宿など、フリーマーケットさながらに安値で叩き売って、かいとった業者があっという間に転売して元値の倍近い利益を上げたなどという世間の常識を覆す「払下げ」はキッチリと検証して国民に報告すべきだ。本来ならマスコミが果たすべきチェックだが、この国のマスコミは社会の木鐸を放棄して久しい。全く当てにならないプロパガンダ機関に成り下がっている。
全国通津浦々に設置されている郵貯のATMの果たす役割は大きい。どんな田舎に住んでいても都会と同じサービスを受けられる「ユニバーサルサービス」の充実こそがその社会の成熟度を示す指標といえる。先人の労苦によってせっかく日本で出来あがっていたものを壊す必要がどこにあるだろうか。
小泉氏と竹中氏を国会審議に招聘して、ぜひとも実験後の見解を聞きたいものだ。