官僚得意技の「焼け太り」か。
世間を揺るがすような事件や事故が起これば、それを梃子にして新制度や新省庁を作って官僚権益を肥大化させるのが官僚の得意技だ。
新しいところでは耐震偽装マンションが建てられ多くのマンション購入者が建て替えを余儀なくされる事件があった。そのため「新築瑕疵担保保証制度」なるモノが創設され、新築家屋を取得する者は保険料を7万円程度負担されている。年に百万棟新築されれば700億円もの掛け捨て損保利権が官僚の手に転がり込んでいる。確かに瑕疵担保すべき新築物件で問題が起これば保障しなければならないが、年間何件が適用となり幾らの金額が支払われたのか寡聞にして知らない。
そもそも宅建業者は開業時に保証金として供託させられている。姉歯とヒューザー事件の補償にはそれを以て充てるべきだったにもかかわらず、国交省も宅建協会全国会もスルーしてしまった。のみならずそうした仕組みがあるからそれを使うべきだという言論界からの指摘も全く起こらなかった。わずかにこのブログで指摘した程度だが、大海の一滴に過ぎず、官僚のいいように事件が利用され国民負担により官僚の天下り先が出来てしまった。
未曾有の災害復興にしても「復興基金の創設」などという無駄な機関を作って官僚がチェックという利権構造を手にしたようだ。原発事故に対しても「補償基金の創設」を果たして東電存続・地域独占企業体制の存続を果たし、官僚たちにとって万々歳の2011年夏ということになったようだ。現日本で最良の政治家小沢氏の手足を検察と大手マスコミとバカな政治家たちが縛り上げて身動きできないようにした挙句の愚行のオンパレードだ。
原発事故に関して、本来なら経産省の保安委員会が厳重にチェックして来なければならなかったはずだ。それが地方の原発関係シンポジュームで電力寄りの発言を期待して人員動員したりしていたのが発覚した。電力会社のぶら下げる利権というニンジンに食付いた官僚たちは害悪以外の何物でもない。それに対する釈明は「シンポジュームが寂しいものであってはならないから動員をかけたが、それが問題だろうか」と開き直って見せた。それなら不特定多数に街宣車などで呼びかけるのが筋で、電力会社関連下請け会社の職員にメールで動員をかけるのが「会場が寂しくならないようにするため」という理由に当て嵌まるのだろうか。
さて原発事故対策だが、原発事故を二度と起こさないために環境省に原発監視機関を設けるという。官僚お得意の「焼け太り」策だ。そもそも原発は続けるつもりだろうか。国民にしっかりと問うてからそうしたことはすべきだろう。官僚たちは当然原発を続けるつもりなのかもしれないが、国民は果たしてそう思っているだろうか。国が放射能汚染図すら明確に示さない、放射能汚染を計測して地域住民に適切な情報を流さない国家に、原発という利権の塊を委ねる愚かさに国民は気づいている。処分場の六ヶ所村の村民の平均所得が1350万円と聞いて、もうそんな札束で頬を張る真似はやめろと叫ぶしかない。カネで転んだ村民を憐れむし、そうしたことでしか推進できない原発政策から国家は手を引くべきだ。