海江田氏は「国民の生活が一番」を実現できるのか。
前原氏と比べれば海江田氏の方が小沢氏に近いといわれるが、経産大臣の実績を見る限りでは「国民の生活が一番」の理念を具現化したとは思えない。その第一が経産官僚3氏に対する処分が、実際には処分ではなく「勧奨退職」扱いとなり退職金の割り増しまで実施していたことだ。それで福一原発事故の責任を3官僚が取ったと言えるのだろうか。まさか放射能事故を起こした原発所轄省庁として誰も責任を取らないで済ますわけではないだろう。
第二に玄海原発に対して逸早く「再開」を決定し、フライングだったことが直後に発覚したことだ。その「再開」宣言をわざわざ海江田大臣が行い、玄海原発の再開を以て各地の原発を再開する先鞭にしようとしていたことまでも発覚している。
経産大臣として福一原発事故がどの程度国家と国民に対して深刻な損害を与えたか、という認識を持ち得ないのは官僚の発想であって、国民目線に立つ政治家の者とはいえない。
第三に再生エネルギー法案だ。その法案の基礎として電力の地域独占維持が見て取れることだ。法案の中身は「再生エネルギー全量買い取り」が柱になっているが、単純に「すべて買い取るんだ」と喜ばない方が良い。条文をよく見ると「送電設備の容量が不十分の場合は当分の間買い取れない」とか、再生エネルギー買取を拒否する様々な言い掛かりをつけられるような仕掛けが施されている。あくまでも電力会社のイニシャティブで「買取するか否か」が判断できるようになっているのだ。そんなまやかしの法案成立を以て「電力の自由化」などは出来るわけはない。いや、そもそも地域独占体制維持のためのガス抜きに過ぎないのではないかと疑わざるを得ない。
経産大臣として海江田氏の実績を見る限りでは代表となり総理大臣になったとして、到底「国民の生活が第一」の理念を実践するとは思えない。たちまちすべて経産大臣の実績通り、官僚の敷いたレールの上を走るだけの「官僚丸投げ」政権に堕すのは明白だ。残念だが海江田氏には「泣き虫」以上に推せない理由が目白押しだ。おそらく小沢氏も海江田氏を推すことはないだろう。