余りに遅く、しかもお粗末。
この程度の特例法は被災後一ヶ月程度で当然予測して閣議決定し、与野党協議を行い速やかに国会議決を行っておくべきことだった。それが四ヶ月になんなんとするこの時期になってやっと瓦礫処理の特例法を閣議決定する遅さで、しかも市町村で負担し後ほど一部を国庫補助するというお粗末さだ。
町役場が被災して機能喪失している町もあったほどの大災害で、国のこのチョースローぶりは一体なんだろうか。市町村に負担を仰ぐよりも、なぜ全額国が負担するから速やかに瓦礫処理を行うべき、としないのだろうか。そこにも国家官僚の「受益者負担」というバカな論理が見え隠れする。
官僚たちは被災した町に今年から来年にかけてどれほどの独自財源が確保できると予測しているのだろうか。漁業の町の壊滅ぶりを見れば一目瞭然ではないだろうか。それなら自分たちの既得権益各種団体へタレ流すのを遠慮すれば、一説に12兆円といわれるカネを捻出できるはずだ。
非常時に於いても平常時の理論で何事も縄張り意識で進めようとする官僚たちに遠慮していては「この程度」の特例法しか出てこない。せいぜいが現行法の拡大版、というべきほどのことだ。それでは「復興特例法」がどの程度のものになるのか思いやられる。しかもある県知事は東京のコンサルタントに復興策を丸投げしているというではないか。東京の金融系シンクタンクなら官僚とはあらゆる意味で絶妙のタッグチームだ。官僚利権に佞て予算を獲得しようとする自民党的な手法を地方自治体の長が採るとは畏れ入る。これでは地方のことを地方が考えて責任を持って実行する「地方分権」が出来るはずはない。
これほど政治に携わる人たちの見識が堕落した時代を私は知らない。江戸時代の藩政改革に邁進した先人たちの智慧の足元にも及ばない。政府も政府なら地方も地方だ。