何が何でも増税なのか。
現在の制度に定規を当てて、そのまま延長線を引くには紙の余白が少ないから、増税と負担増をやって紙の余白部分を増やそうとしているとしか思えない。
現在のいびつな社会保障制度が良いとは到底思えないのだが、最も恵まれている公務員の制度に手を付ける気はないのだろう。それを官僚主導の改革だと非難しているのだが、菅政権は馬耳東風のようだ。
菅氏は昨夜国会内で民間人との集まりで「私の顔を見たくないのなら、一日も早く改革案を通すことだ」と人をバカにしたような発言をした。国会議員の声に耳を傾けない、謙虚さを失った居座り首相はどこまでも厚顔無恥のようだ。彼を増税路線に突き進ませる原動力は一体なんだろうか。米国債を買い増し続ける資金を手にするためなのか、IMFも日本に増税を要請してきた。
財政を健全化させるためならまず歳出削減努力をすることだ。歳出要素別で最大のものは人件費だから、そこに手を付けないで何が出来るというのだろうか。やっと目晦ましのような人件費削減を提案してきたが2013年までと年限を切った数%のものでしかない。だが実質的にはベースアップをすれば手取りが減少するものでもないようだ。どこまでも国民を舐めた国会運営を官僚の下請けとなった政権は続けていくようだ。
さらにふざけた提案として1.5次補正予算として2兆円程度の補正を組むという。細かく目標を設定することによって、菅氏は政権を匍匐前進のように一日一日と延命させるつもりのようだ。速やかに30兆円程度の補正を組んで、地方へカネを送金するのが災害復興の最良の方法だが、菅氏は中央官僚の利権確保のために災害復興はどうであれ、歳出要請を盾にとって官僚の権限を確保した上で地方へ紐付き補助金の「恩恵」を与えて飼いならそうとするかのようだ。愚かしいといわざるを得ない。
菅氏が自民党の消費税10%案に抱き付いた時から、菅政権は第二自民党政権になってしまった。つまり増税という軸で考えれば菅政権はとんでもなく民主党支持者を裏切ったのだ。当然、民主党支持者からの支持を失って、民主党の支持率は低下し、支持政党ナシが増大した。
もちろん増税を主張する自民党の支持率も芳しくない。この時期に増税を主張するのは国民経済を委縮させるものでしかない。間違った政策だとしか見えないが、官僚たちは増税すべきと政治家にレクチャーしているのだろう。頭の空っぽの政治家は官僚の差配通りに操られてしまっている。国民の代表とは思えない。
菅氏は何をしたいのか。災害復興だという。しかし2兆円程度の補正では時間の無駄だ。国会を停滞させている張本人は間違いなく菅氏だ。さっさと退陣することだ。大手マスコミが菅氏の後を誰にしてどのような政策を実行するのかが見えないから、菅氏以外の政治家もダメだ、との論調を表明しているが、かつての自民党日替わり政権時代でも首相が退陣してから、政権運営意欲のある政治家が次期総裁に正式に名乗りを上げていたのを忘れたのだろうか。大手マスコミも次期首相候補が名乗りを上げて政策を提示する必要がある、とするのなら菅氏が〇〇を成し遂げて一区切りとする、という政権延命術と少しも変わらない。似た者同士が支え合っているのが現状だ。つまり両者とも官僚の下請け機関の成れの果てだということなのだろう。