原発ありき、の支援機構に反対する。


 支援機構の概要が6/11に発表された。原子力損害賠償支援機構法案の要旨は次の通り。



 一、原子力損害賠償の適切な実施を確保、電気の安定供給、原子炉の運転などの事業の円滑な運営を図ることが目的。


 一、原子力損害賠償支援機構を設立、原子力事業者が機構に負担金を納付する。負担割合などは経済産業省令で定める。


 一、事業者は要賠償額が賠償措置額を超えると見込まれる場合、機構に支援を申し込める。


 一、機構は資金交付、株式引き受け、資金貸し付け、社債の取得、債務の保証などを行って、事業者を支援する。


 一、機構に運営委員会を置き、資金援助および負担金の額などの議決を行う。


 一、機構は支援申し込みを行った事業者と共同で損害賠償実施などの特別事業計画を作成、経産相の認定を受ける。


 一、政府は機構が必要とする資金確保のため国債を発行、機構に交付できる。


 一、支援を受ける事業者の機構への負担金には特別負担金を加算する。


 一、著しく大規模な損害発生で電気の安定供給、原子炉の運転など事業運営に支障を来し、国民生活に重大な支障を生ずる恐れがあると認められる場合、政府は機構に必要な資金を交付できる。


 


 つまり一読すれば原発ありきの支援機構だと分かる。しかも電力会社の在り方も現在の10電力会社による地域独占を前提としている。このような利権維持・拡大の「官僚焼け太り」策には到底賛成できない。いったいどのような連中が議論して取り纏めたのだろうか。


 現在の原発事故で国民生活に甚大な影響を与えているのは「発電量の安定供給」を欠くことではなく、放射能被害による地域住民の健康被害と土地を放棄して避難しなければならない財産権への侵害、さらに「日本」に対する国際社会の信用力の低下だ。


 


 経産省ともあろう省庁が一体何を考えているのだろうか。原発を存続させることがこの国の国益にどれほど寄与するというのだろうか。ウランそのものも限りある資源で、このまま消費すれば100年程度でなくなるとされている。人類のエネルギー問題を解決する切り札ではなく、しかも放射性廃棄物の最終処理費用までを含むトータルコストを勘案すれば、決して割安な「発電装置」とはいえない。むしろ次世代以降の子孫に高負担を押し付けるものでしかないだろう。


 この時代を生きる日本国民によって未来の日本国民に過大な費用のツケ回しをすべきではない。10万年という放射性廃棄物が無害化する歳月を人類はどのようにして監視すれば良いのだろうか。やってはならない悪魔のエネルギーに魂を人類は売り渡したのではないだろうか。


 原発ありきの「支援法」には反対だ。福島原発事故が「想定外」の自然災害で起きたとするなら、今後も想定外の原発事故は起こるということだ。それなら少なくとも日本国民は自国から放射能被害を世界にばら撒かない、という決意を以て、いかにして原発から安全に撤退するか、を議論しなければならない。


 しかも東電存続ありきは自然エネルギー醸成の将来構想にも反する。地域独占体制維持を目論む電力会社ががこれまでどのようにして自然エネルギー開発を阻害し潰してきたか、その共犯者たる経産官僚とともに断罪されなければならない。そうした総括なしに、電力事業の将来へ向けた話をしてはならない。なし崩しは電力会社と経産省官僚の得意技だろうが、国民は騙されてはならない。かつてのサンシャイン計画はどのようにして潰され、自然エネルギー利用の世界のトップランナーだった日本が後塵を拝するようになったか、真摯に検証し反省しなければならない。




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