国民番号の縦割りバラバラ管理を統合せよ。

 先日登校中の児童の列にクレーン車が突っ込んで6名もの児童が死亡する悲惨な人身事故があったが、その26才の運転者は過去8年間に7回も事故を起こしていたという。すでに26才の運転者にはテンカンの持病があることが分かっており、、警察では事故と持病との関連性を慎重に調べているようだ。


 


 かつて「てんかん」持ちの人は、欠格事由に相当し、免許が取得できなかったが、2002年の道交法改正により「過去に一定期間発作がないこと」を条件として、免許が取得できるようになった。しかし医師の診断書が義務付けられることもなく、自己申告に任されているのが現状である。


 


 しかし重大な人命にかかわる事故を起こす可能性のある「持病」の持ち主に関してはしかるべき法的措置を講じることはやむを得ない措置だと考えざるを得ない。個人の人権尊重を主張する人たちから「持病による差別」だという大合唱が聞こえてきそうだが、26才の運転手は持病により通常の「危険運転致死罪」が問えない可能性が高く、一方で持病による差別をなくすように主張し、一方で持病による通常の罪に問われないのは問題である。


 


 そして何よりも運転免許証の取得に際して持病の告知が「自己申告」であるのが何よりも問題ではないだろうか。こういうとすぐに個人情報を盾に医療機関から免許センターへ告知するシステムの導入に反対する人たちがいるが、運転免許証の取得は重大事故を起こす可能性のある「免許」を取得することであることを勘案すると、ある程度の「個人情報」を開示することも必要ではないだろうか。


 


 だが現在の医療情報が一元管理されていない状況で免許センターへ告知が万遍なく行われるとも思えない。やはり個人情報はそれぞれ縦割りに個別的に管理される社会では限界があることを認めなければならないだろう。


 現在、日本国民は様々な背番号を持っているがそれはあくまでも個別であって、同じ役所内でも自分の個人情報が必要な場合には役所内の担当部署の窓口に並んでそれぞれに手数料を支払って紙の証明書を取らなければならないのが現状だ。


 


 日本ではIDカードがないため運転免許証がその代用として使われる場合が多いが、本人確認証明の手段として運転免許証の提示だけで済まされるのも実に杜撰だといわなければならない。たとえば金融機関で提示される運転免許証の真贋はどのようにしてチェックしているのだろうか。


 さらに年金には年金番号が、健康保険には健康保険番号が、住基ネットには住民番号が、と個人に様々な番号が付され、それぞれが個別に管理しているが、その経費もばかにならないのではないだろうか。


 


 省庁による個別的・縦割り管理という非効率は止めよう。そろそろ国民番号に統合して高度情報社会に対応すべく日本も国家による個人情報の集中管理へ移行すべき時期に来ているのではないだろうか。


 この度の東日本大震災により診療所などのカルテは損失されたのではないかと心配する。PC管理していればPCさえ見つかれば情報は気密性の高いHDDの中に保存されていて大部分は再現可能だろうが、紙の場合はなかなか困難ではないだろうか。津波被害にあった地方自治体もPC管理していた情報は再現可能だろうが、紙による管理をしていた情報の再生には困難を伴うだろう。


 


 しかしいずれにしても迅速な復旧を行うには他所にバックアップしておく必要がある。今後のことを考えるなら国家による地方自治体が常時利用できるクラウドコンピュータの開発・運用・管理と情報を日本列島の東西二ヶ所程度に分けてバックアップしておく必要があるだろう。そして個人情報もID化して省庁でバラバラな管理を一元化し、併せてカルテの電子化と国による一元管理も必要になるだろう。


 そうするメリットは計り知れないほどだ。たとえば免許管理センターからのアクセスには一部限定的に個人情報のやり取りを行えば持病の持ち主が免許取得に際してそれなりの対策を講じることが可能となる。性犯罪の常習犯にはそれなりの管理も可能となる。それを個人情報の国家管理だ、と反対の声を上げるのなら自分の子供が持病を持った運転手の起こす事故に巻き込まれ死亡しても、加害者に対して通常の運転者責任を問われない不条理に耐えなければならないだろう。


 


 情報の一元管理社会において不正な「情報流出」は国家犯罪として厳罰で臨まなければならないのはいうまでもないことだ。現在の刑罰程度では済まされない。国家の存在理由そのものだというほどの厳重管理と運用が必要だ。


 カルテの電子化一元管理は病歴の流出を恐れる意見も多いが、レントゲンや各種診断装置による被爆を抑制する効果も大きいだろう。そして感染症対策や病歴による医療ミス(たとえば意識不明の患者からペニシリンショックの医師への無通知などによる)を防ぐこともできるようになる。


 


 管理社会になると反対する人たちは現在の野放図社会を歓迎しているのだろうか。しかし電子情報化社会は時代の趨勢でもある。そうするだけの社会インフラが存在し、そうするだけの社会的要請があってそうしないのは怠慢だと言わざるを得ない。B型肝炎患者などの訴訟に対しても、カルテが電子化されて残っていれば被害患者の特定は実に迅速にできるし、因果関係の認定も合理的に行えるだろう。官僚たちが湯水の如く浪費している情報処理費が不当なものだと感じているのは私だけではないはずだ。



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