中国の軍拡の動機は何だろうか。

 中国は領土拡張主義の虜になっている、とするのは間違いだろうか。中国の長い歴史は漢民族による領土拡張と、辺境の異民族による中国への侵略の繰り返しだった。中国を支配する者は絶えず近隣諸国が侵略してくるのではないかとの疑念にかられた歴史でもあった。


 中国史最初の皇帝として絶大な軍事力を擁した始皇帝ですら万里の長城を築いて北方異民族の侵略に備えた。四方を海に囲まれている日本では異民族による侵略は元寇以外には考えられないが、中国では日常茶飯事だった。そして現在、中国は万里の長城以北の地域を侵略して併呑し、チベットやウィグル人の地域までも中国領土だと主張している。世界が中国とその近隣の歴史を知らないとでも思っているのだろうか。


 近い将来、中国は台湾も中国領土と宣言して侵略しようと画している。早くも「一つの中国」を世界に認めさせて、台湾は中国領の一部だと厚かましくも言い張っている。


 


 一国の独立とは国家として大きく二つの機能面から判断される。一つは徴税権の確立と、今一つは軍事・治安の実行支配だ。台湾を見る限り、中国が台湾人から徴税しているとは思えないし、中国による台湾軍事支配が行われているとも思えない。つまり台湾は中国がいかに百代言を費やそうと、独立国家だ。「一つの中国」とは中国が世界に向かってついた壮大な嘘の一つに過ぎない。それは南京大虐殺や非道な日本軍として中国が国民の愛国心教化を行うプロパガンダと何ら変わらない。


 


 中国人は、といって十羽一絡げにするのは良くない。中共政府は、というべきだろう。全人口の数%にも満たない共産党の一党独裁支配による政府が打ち出す政策により、中国は動いている。


 ここでも日本人は勘違いしてはならない。全人口に対する僅かな割合の人数による支配だから中国政府は不安定だろう、と思うことだ。戦前まで中国を支配していた「清国」は満州の女真族により建国されたものだ。つまり中共の前の王朝は満州による「侵略」国家だったのだ。しかし日本人が観念する侵略とは趣が大きく異なる。


 委託統治、とでもいうべきだろうか。能力のある者たちが政府を形成して十数億人もの中国を統治すれば良い、といった程度の国民の意識なのだ。かつて鄧小平が「白い猫も黒い猫もネズミを捕まえる猫が良い猫だ」と言ったのに象徴されているだろう。


 


 空母を保有する中国の脅威は侮れない。中国が近い将来台湾侵攻を実行するかもしれない、と脅威論を煽るのも根拠のないことではない。しかし中国政府は絶えず国民に食料を与え治安を確保しなければ国外へ追放されるか、残虐な仕打ちによって虐殺される。だから政府要人も必死なのだ。中国の国力増強を絶えず行い、今日よりも明日により大きな希望がある、と国民に思わせて慰撫しなければならない。そうしなければ中南海が人民の波に呑み込まれて政府要人は踏み潰されてしまう。


 いかに軍事統帥権を擁していても、人民の波には勝てない。そのようにして清国は滅んだ。菅氏が国民受けを狙ってパフォーマンスに明け暮れるのと全く同じことをやっているのだ。露国の中古を十年以上も前に貰い受けた空母がどれほどのものか、米国は百も承知のはずだ。たとえ艤装やエンジンを取り換えたとしても、ミサイルやレーダーを最新のものにしたとしても、軍事的脅威は最新鋭の米国空母に遠く及ばない。それでも空母を保有する、というポテンシャルで国民の歓心を繋ぎ止める効果はある。中国政府はそれに賭けているのだ。


 


 中国の上海などではすでに不動産バブルは崩壊の領域に踏み込んだようだ。インフレと金融不安を伴うバブル崩壊は中国政府を困難な局面に突き落とすだろう。国民の不満が高まれば、それを逸らす手段として外交的な緊張を高めることも考えられる。それだけを心配していれば良い。産経が必要以上に中国脅威を煽るのに本気にしないことだ。中国の脅威があるから日米安保が永遠に必要だ、というのは米国ポチの論理だ。日本は日本国民が守る、というのが世界の常識だ。いつまでも北朝鮮や中国の脅威ばかり煽って米軍基地の永続化を日本国民に刷り込まないことだ。その代り「思いやり予算」を投じて自衛隊の増強と攻撃軍備を整えることだ。防衛だけではいかに強いチャンピオンでもノックダウンされるのは時間の問題だ、というのはボクシングの常識だ。それは軍事にも当てはまる。防衛だけでは国防はできない。日本も空母を建造することだ。



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