国が責任を負うということは国民に負担が来るということだ。

 菅首相に国で何とか膨大な放射能被害に対する損害賠償を面倒を見てくれないか、と東電社長が申し出ると、現行の役員や社員の甘い報酬減額ではいけない、と出来合レースを大手マスコミの前で演じて見せた。そのため社長や経営関係の役員は報酬を全額返上し、常務などは60%返上、管理職は25%カットで一般社員は20%カットで決着がつくようだ。


 こんな経営なら東電の社長や取締役は国民から公募すれば良い。その程度の経営判断で国が国民の税や電気料金値上げで穴埋めをしてくれるのだ。世界に放射能汚染を撒き散らした会社にしては何ともお気楽なスキームではないだろうか。


 


 日本では民間の平均給与よりも公務員や半公務員たる公共料金で運営されている会社の社員は割高な給与を頂戴している。世界の常識でいえば考えられないことだ。たとえば米国の電力会社の社員の給与は民間企業の平均給与よりも低く設定されている。それで嫌なら辞めれば良いだけで、リストラも賃金カットもない職場では民間企業の平均を下回っても国民は職を求めて殺到する。


 しかし日本では公務員給与をはじめ、公共料金で成り立っている会社の社員給与の方が民間企業の平均給与よりも割高で、しかも会社が本来なら倒産すべき事態に直面しても、これまでの利権をふんだんに与えた効果が利いて倒産しないばかりか国が面倒を見るという。つまり国民負担で会社を維持・運営するのだ。利権構造はそのまま温存され、経済原則による自然淘汰すらここでは効き目がないのだ。


 


 しかし、これほどバカにされても怒らない国民も悪い。政府はもちろんバカ菅政権だから官僚の耳打ち通りにスキームを作るだろう。官僚たちは先輩から後輩へと申し送って散々電力会社の拠出する「電源開発費」利権で甘い汁を吸ってきた。今後も甘い汁は枯渇しない方が官僚の幸せだ。国民が少々高い電気料金を負担しようが知ったこっちゃない。国際比較もしないで「公共料金が上がっても災害復旧には必要だ」と国民は変に納得して支払い続けるから問題はない。政治家が突っ込めばややこしくなるが、菅政権は一日でも長く政権の椅子に噛り付くのに汲々としているから、電気料金を国際比較をして「高いのはなぜだ」と異論を唱える段ではない。首相が小沢氏でなくて本当に良かった、と官僚たちは検察と大手マスコミと裁判所によってたかって小沢氏が身動きできないように手足を縛られている現状に、ほっと胸を撫で下ろしていることだろう。


 


 この国の電力会社が今後の日本にとってどうあるべきか、を検討する絶好の機会を目の前にしている、という実感を持たない政治家たちは国民にとって不要だ。その程度の政治家なら黒いビニール袋に入れて粗大ゴミと一緒に出すべきだが、そうすると官邸が空っぽになってしまうだろう。


 本来なら、まず東電を破綻処理して解体し、発電会社と送電会社に分けてそれぞれ受け皿となる民間企業に下取りさせれば良いのだ。それを範として全国の電力会社に競争原理を導入して、自然エネルギーの発電事業参入がしやすいようにすれば良い。ゆめゆめこれまでやってきたように、環境省が電力会社と一緒になってトンチンカンな規制を掛けないことだ。


 日本は待ったなしになっている。東電を存続させて国民負担のスキームを作るのは官僚主導の亡国スキームだ。そうではなく、東電は民間企業の一つとして厳密に経済原則を適用して破綻させることだ。これほど風評被害も含めて全世界に迷惑をかけた電力会社が存続することはあり得ない。世界の非常識だ。日本と日本国民が笑われるだけでなく、世界が相手にしなくなる。それでも日本国民は東電の根回しが十分に行き届いた官僚によるスキームを提示する菅政権を支持するつもりだろうか。官僚はこの国を食い潰すシロアリそのものなのだが、大手マスコミまでもその下請けだから始末が悪い。



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