「主張」の唱える社会保障とはどんなものか、批判ばかりでなく具体像を示すべきだ。

 財政が厳しいから「子供手当」は廃止し、社会保障も少子高齢化が進むから今後とも毎年一兆円ずつ歳出増となるから国民への負担増は避けられない。しかも税による最低年金保障も財政規律から現実的でない。ーーというのなら、「主張」氏はこの国の社会保障をどうせよというつもりなのだろうか。


 


 毎年1兆円ずつ社会保障が増える、というのは誤りだ。ここ暫くは増え続けるだろう。しかし団塊の世代が消え去る二十年後は人口減社会によって社会保障は減少へ転じる。それも劇的に減少していくが、保険制度で運用する限り、現在の少子化傾向が止まっていなければ現役世代は絶えず高負担を強いられる。夫婦二人で生涯に1.34人しか子供を産まないのだから、絶えず老人人口の全人口に占める比率は大きいままだ。


 


 つまり日本の国民経済規模がハイスピードで縮小していく時代が訪れる。世界的にも珍しいことだが、日本は愚かなことに複式簿記を採用していないから、この国の基本的な減価償却費の総計が幾らか国民はもとより、国会議員にもすぐには分からない会計構造になっている。


 会社経営で困難なのは会社規模の成長期ではなく、縮小期の経営だといわれている。将来の日本は縮小期の国民経済を抱えて、国家予算のかなりの部分を割いて全国に投下した膨大な社会インフラを維持しなければならない事態に陥る。それもそれほど遠くない将来においてだ。


 


 現在の日本国民は未来の日本国民に膨大なツケを遺している。なにも「財政赤字」などの一度ハイパーインフレを起こせば帳消しになるような規模の小さな話ではない。全国に造ってしまった54基もの原発のことだ。直ちに廃炉にすべきと思うが、政府にも官僚にも大手マスコミにもそうした意志はないようだ。しかしいずれかの時点で耐用年数が来るか、福島第一原発のように事故を起こして停止せざるを得なくなるか、廃炉にしなければならないのは見えている。その経費を誰が負担するのか。そして出てくる膨大な放射性廃棄物をどうするのか。そうしたツケを未来の日本国民にツケ回ししているという現実を失念している。そのジコチューぶりには驚きを禁じ得ない。未来の日本国民に現在を生きる我々は合わせる顔がないほどのことをしでかしている。


 


 人口予測は戦争などがない限りまず外れない。未来の日本国民に人口減社会も押し付けたまま、少子化対策をおざなりにしようとしている。少子化の大きな動機が老後の社会保障への不安があるからだというのなら、新規公共事業はすべて止めてでも、税により最低年金を実現すべきだ。


 元来が税の徴収権限は国民の命と財産の保全が一義的な使命を実現するために政府に付与されている。社会保障を「保険制度」で行うのなら公的負担としてすでに国や地方に取られているわけだから、二重取りということになる。官僚による官僚のための議論しか俎上に乗らない大手マスコミの論調には心底がっかりする。この程度の議論をするために新聞を発行しテレビ局を保有し国民への情報をメジャーとして管理させておく必要があるのだろうか。大手マスコミを保護する諸制度を改革して、真に競争原理を持ち込まなければ悪貨がはびこるばかりだ。



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