小沢氏は行動すべきだが、断じて捨て石になってはならない。
与党議員として内閣不信任案への同調はなかなか踏み切れ難いところだが、小沢氏には前歴がある。彼がやると意を決すれば疑似餌のような菅氏の大連立の呼び掛けとは違って必ずやるだろう。それほど小沢氏の言葉は重い。
しかし与党議員が首相の不信任案に同調すると与党内に留まれないのが通例だ。民主党を出ていかなければならなくなり、彼が政権交代の大枠にまで育て上げたフレームを壊すことになる。彼の胸中にはなんとも忸怩たるものが去来するのではないだろうか。
政界は「我こそは…」と思い上がった連中の集うところだ。選挙運動を見ていれば良く分かる。中身が空虚な者までが流行り文句を口にして支持を獲得しようとする。これまで地域活動に見向きもしなかった者までが「皆様の手足となって…」と歯の浮くような文言を平気で言うようになる。しかも拡声器を使って大声で絶叫する。
菅氏もそうした手合いの一人だったのだろうが、一旦首相に就任するや「支持率が零になっても止めない」と椅子にしがみつく。その任にない器の者が、この大災害の時期に首相で居続けることがどれほど災いをもたらしているのか、すら菅氏は考えていないのだろう。そして様々な会議を作って仕事をやっている気になっている。参考書ばかり買い漁って勉強した気になる受験生のようなものだ。
挙句の果てに被災した沿岸部の病院の4割が通常診療できていない状態であるのに「復興構想会議」を立ち上げるという。いかにも官僚が考えそうな名称とすべての復興予算を手中に収めようとする発想なのかが良く分かる。
そうした予算の使途を何処にするかの省庁の縄張り争いをするよりも、実務的に病院を復興させるべく支援を速やかに国として行うべきだろう。政治の根本命題は「国民の生命と財産を守る」ことにある。その拠点施設の病院機能の回復すら果たせない政府が「復興構想」とは何んともおこがましい。
民主党国会議員は小沢氏が菅氏の不信任案に同調しなければならない事態まで現政権を放置してはならない。国民のためにならない存在自体が災害と化している菅政権を速やかに退陣へ追い込むのが民主党国会議員の役目だ。彼らの手により作った政権が役立たずなら、彼らの責任において退陣させるのが本筋だ。小沢氏に不信任案に同調させて、政界再編劇を演じるほど現状はのんびりとした環境ではない。危機的状況にある日本を救うには小沢氏が政権与党にこそ必要だ。
まともな日本人としての知性があれば菅氏と小沢氏と比較してどちらがより首相として適任か明快に判断できるはずだ。検察と大手マスコミとの政治介入と大嘘をつき続ける国家のまま日本を放置してはならない。小沢氏を首相にしてはならないという法的根拠がない限り、小沢氏を首相の選択肢から排除する理由はない。そして現今の日本首相に最も必要な人物は小沢氏をおいて他にないだろう。