官僚の得意技「焼け太り」を許すな。
災害復興に向けて様々な動きが出てきているが、どれもこれも全部といっていいほど財務官僚と各省庁官僚の連携「焼け太り」策のように思える。
福島第一原発事故による被災者補償問題にしても、東電の存続を前提とした「原発事故補償基金案」が浮上しているのは何とも不気味だ。つまり第二第三の福島第一原発事故を政府は予見しているかのように思えてならない。
そもそも東電の福島第一原発は政府経産省の厳重な指針と管理の下に造られ、運営されてきた。一義的な責任はむしろ原子力委員会と原子力安全保安院にあるのではないだろうか。つまり原発事故の一端の責任は政府にもあるから、原子力事故損害賠償法によって国も一定の金額を支払うように定められているのだろう。
それなら原子力委員会や原子力安全保安院の責任はどうなっているのだろうか。原発に「想定外」があってはならないのは常識だ。それを放置していた東電と政府官僚による管理・指導体制はどうなっていたのか、厳密に検証されなければならない。
そして事故の損害賠償は東電がすべての資産を売却して償い、償いきれない場合は破綻しなければならないだろう。それほどの重い責任が電力会社に課されることを示さなければ原発で「想定外」を連発する危険なモラルハザードに陥るだろう。
官僚は災害復興に際して増税を国民に課し、大手マスコミもさっそく世論調査なるものを実施したとして国民の半数以上が復興のための増税に理解を示していると報じている。とんでもない話だ。
まずどのような街へ復興させるのか、という青写真が提示され、そのためにどれほどの予算が必要となり、国として地方へどれほどの支援をすべきかを算定した上で、全国で使う予算を緊急性のない部分を中止して災害地へ送金するなどの予算の組み替えをして、それでも足りない部分はこの際、勤労者平均所得を上回る官僚・公務員給与部分を災害地への予算として回すとしなければならない。
それだけで十分に足りるはずだ。増税は全く必要ないし、官僚の天下り先に利するだけの復興基金も必要ない。大手マスコミも官僚の焼け太りの御先棒を担ぐのなら、まず利権と化しているテレビ電波利用料金を国際相場並みに負担すれば良いだろう。
公務員給与総額は年間30兆円だといわれている。1/3ほど削減すれば10兆円だ。消費税4%分に当たる。消費税増税なら景気は決定的に悪化するが、公務員給与を1/3ほど削るのなら何ら問題はない。それでも民間平均所得より高額なのだから、「民間企業並み」を勧告する人事院も追認せざるを得ないだろう。
そうした法案を出せない政党ならどれもこれもすべて要らない。国会議員は全員出直すべきだ。世襲などで既得権益化している議席には同一選挙区からの再出馬制限を設けよう。政治は稼業にあらず、国民のために官僚を使いこなす指導者でなければならない。官僚は憲法をもう一度精読して、公僕たる自覚を覚醒させるべきだろう。国民の「優しい心根」を利して「焼け太り」を画策する官僚を許してはならないし、社会の木鐸たるべき大手マスコミも官僚の広報機関に成り下がってはならない。