被災者の生活支援を迅速に。
阪神淡路大震災の被災地と比べて、今回は被災地の多くが寒魚村で人口減少地区だった。それでなくても高齢者社会で地域共同体の維持が次第に困難になりつつある地域であったことを考えれば、被災者の生活が復旧するまでの猶予が神戸よりも短期間でなければならない。
いったん他所の土地へ避難した人の何%が再び以前の地域へ帰って来るのかを考えれば、被災後16年も経過した神戸ですら70%前後だということに照らし合わせれば東北の小さな町・村は更に復帰率が低下し、村落の維持が困難になりかねない。
その折に、被災者生活支援仮設住宅の建設が遅々として進まないのはなぜだろうか。
ネックとなっているのは土地がないのと仮設住宅そのものがないということのようだ。しかし膨大な一団の土地は必要でなく、少しの空き地にでも数戸ずつでも造るとすれば土地はいくらでもあるだろう。仮設住宅に関しても、政府や地方自治体が一様に「同一の仕様」に拘っていはしないだろうか。「簡易に建設・撤去のできる人が暮らせる数十㎡の家」との緩和した条件を提示すれば日本のプレハブメーカーも簡単に参入できるだろう。
海外メーカーに門戸を開くとしたようだが、そうするくらいならなぜ国内で製造能力を持つプレハブ住宅会社に声を掛けないのか不思議だ。仮設住宅にも官僚独特の「規制」をかけているとすれば呆れるしかない。テレビなどで見ると、仮設住宅の仕様がすべて一様な気がするが、そんな必要はさらさらないだろう。迅速を旨として被災住民が地域を離れることのないようにすることの方こそ尊ばれる。そしてこうした仮設住宅などに充足する補正予算こそ予備費を充てて与野党の政争の具にしないことだ。何事につけても菅政権は大上段に構えるものの隙だらけで迅速さが全く見られない。
菅氏が「ええかっこ」するために首相の椅子があるのではない。国家と国民のために仕事をするためにこそ首相の椅子と権限が付与されている。それを使いこなせないのなら、菅氏はさっさと退陣することだ。もっとましな人材は民主党にいくらでもいる。この非常時に政権ごっこで時間を浪費することは許されない。菅氏の速やかな退陣こそ、この国と国民のためになる。