危険を煽るつもりはさらさらないが、
テレビを視聴していて、評論家諸氏が数字を混同しているのか、それとも故意に混同しているのか、正確に報道していないため一文を記すことにした。
テレビなどで報じられている一時間当たりの放射線量がレントゲン一回分にも満たないから安全だ、という話をしているのを聞くと違和感を覚える。
それは放射能を浴びる環境で仕事をする人たちの安全基準の話だ。放射能に汚染された環境で一定時間働き、それが総量で何ミリシーベルトを浴びると健康被害を生じる危険があるため退避すべきと定められている基準を話しているに過ぎない。
その数値をそこで暮らす地域住民に適用して論評するのは大変危険だ。その理屈は簡単な事実から分かるが、なぜレントゲン技師は鉛の板を胸に当てて別室からレントゲン機器を操作するのか。それは一回が僅かな放射線でも被爆が蓄積されては危険だからだ。
つまり一時間当たり被爆量がレントゲン程度でもそこに暮らすとなると話は別だ。レントゲン一回の被爆は0.05ミリシーベルト程度だ。それを一時間だけ被爆するのなら何も問題はないが、そこで暮らすとなると話は別の基準でなければならないからだ。
レントゲン一回分の被爆0.05×24(時間)が一日の被爆総量になる計算だ。すると一日に1.2ミリシーベルト被爆することになり、一年では1.2×365(日数)で438ミリシーベルト被爆することになる。
健康被害が出るのは一度に100ミリシーベルト被爆すると危険だとされている。弱い放射線による緩慢な被爆でも累積値が438ミリシーベルトに達すると決して安全とはいえないだろう。
幼児や子供たちは放射能被害を受けやすいし、出産年齢の男女は被爆新生児被害に遭わないためにも特段の配慮が必要だろう。四十を過ぎると甲状腺癌の発症率は下がるようだが、若年者にとって放射能被害は深刻な後遺症をもたらす。
いたずらに放射能汚染の危険性を煽るつもりはさらさらないが、ことさらテレビで「一時間当たりレントゲン一回分以下です」と安心させるかのような発言を繰り返す評論家諸氏の無責任ぶりに警鐘を鳴らさなければならないと思い、駄文を記す。