低俗週刊誌並みの冒頭陳述だ。
訴因でもなく立件もされていない水谷建設からの贈収賄疑惑を検察側は滔々と冒頭陳述で述べたと報道された。三人の元秘書の訴因は4億円の記載漏れと、土地購入の期ズレだ。それが土俵を広げて裁判の長期化を目論むかのような、立件していない「フィクション」に過ぎない水谷建設元社長が脱税で収監された拘置所で証言したという「ハナシ」に過ぎない雑談を根拠として述べ立てたのだ。
しかも驚くことに裁判は夏ごろまで続き、判決は秋になるだろう、と既に大手マスコミが報じていることだ。始まったばかりの裁判で今後の裁判日程を誰が推測したのか、裁判の長期化とは聞いて呆れる。
たかが金額の記入漏れと土地登記の期ズレに過ぎない。たとえ指摘された部分が誤りだったとしても、総務省の担当窓口で訂正印を押せば済む程度の「犯罪事由」でだ。
具体的な物的証拠もない、ましてや証人申請すらしていない(弁護側は水谷元社長を証人申請をしているようだが)水谷元社長のハナシを延々と冒頭陳述するという狂言芝居を法廷で演じている。裁判を迅速に進めるべきとされているにもかかわらずに、それを許す裁判官の見識をも疑う。本来は訴因を事実に沿って簡潔に陳述させて、裁判の迅速化を促すのが裁判官の本旨ではないだろうか。
これまでに判明した事実から判断する限り、三人の元秘書の「無罪」が確定的なのは論をまたない。元秘書だった三人の裁判を長引かせて、司法当局は小沢氏の政治家としての手足を縛っておこうとする意図がミエミエだ。そうした司法当局の姿勢に強い疑義を抱かざるを得ない。
この国の司法当局は国民に等しく公平・公正なのか。法治国家として国の根幹に関わる「法と証拠」に基づく裁判が清々粛々と行われるのか。冤罪判決を出させないためにも国民は公判をしっかりと観察しなければならない。