権力闘争は「赤勝て、白勝て」ではない。
どうやら菅氏がやっているのは小沢氏を政界から排除することのようだ。事の善悪や真実か捏造かは彼の関心事ではないようだ。とにかく小沢氏を政界から排除すれば良いとの使命に燃えて菅氏は闇雲に突き進んでいる。それは彼が軸足を置いている勢力の要請でもあるようだ。そしてその勢力は大手マスコミと検察をはじめとする官僚と固く絆を結んでいるようだ。
菅氏と小沢氏とどちらが優勢かとの競馬予想新聞のような論評を気にする向きもあるようだが、そんなことは取るに足らないことだ。唯一問題とすべ゛きはこの国の国民が真実を語れて、真実の姿をきちんと見ているかということだ。
かつて一瞬だけ非自民政権が成立したことがあった。細川政権と羽田政権のことだ。しかし社会党と新党さきがけの裏切りにより非自民政権は瓦解した。そして社会党の委員長が首相になるや、一夜にして「自衛隊違憲」の主張がひっくり返り「自衛隊容認」へと社会党は変節した。それのみならず「村山談話」なる自虐史観の談話まで発表して日本国民の矜持を嘲笑い、先人たちの苦労を水泡に帰してしまった。
菅政権はかつての社会党と新党さきがけの連立政権のではないかと悪夢がよみがえる。自民党の復権に手を貸したあの悪魔のような連中が甦って、民主党政権を潰そうとしているのではないかと思えてならない。
国民が願ったのは、少なくとも政権交代に国民が込めた思いは官僚制内閣の打破だった。官僚が政治家を掌で操り、官僚の一大利権王国をこの国に構築して白アリのように国家財政を食い潰す。そして国家財政が危機に瀕すれば国民から税として巻き上げ、各種保険料を引き上げて帳尻を合せる。
そうした馬鹿げたことを官僚にやらさせないために国民は自民党から民主党へ政権交代させた。政権交代させたつもりだったが、大手マスコミが鳩山氏の沖縄普天間基地移設を巡っての躓きを誇大に喧伝し退陣へと追い込んだ。そして菅政権の誕生だ。大手マスコミの思惑通りになったが、菅氏は普天間基地の移設先を「沖縄県外」としたのではない。それでも大手マスコミは菅氏に対しての扱いは大変優しい。なぜなのかと疑問を抱かない国民もだが、テレビ報道番組のMCやコメンテータ諸氏も疑問を呈さないのには驚くばかりだ。県外移設を実現しえなかった鳩山氏に対してはあれほど熾烈なバッシングを連日繰り返したのにも拘らず。
見事なダブルスタンダードを日本の大手マスコミは演じている。その見事さに少しは恥ずかしいと思わないのだろうか。
菅氏と小沢氏とどちらが優劣にあるかは大した問題ではない。歴史上、必ず真実は露見している。どんなに旨く隠し、上手に誤魔化したつもりでも、嘘は嘘だ。菅氏は嘘をついている自分が恥ずかしいだろう。小沢氏に何の疑惑もないと百も承知で、民主国家に存在してはならない摩訶不思議な起訴議決機関「検審会」による小沢氏への起訴議決こそが問題だと承知していても、小沢氏排除の論理を押し通すしかない立場にあるのだろうから。
大手マスコミもいい加減にすることだ。これ以上恥の上塗りをしないことだ。あなた方がやっていることはとんでもないことで、歴史が冷徹に審判を必ず下すと心しておくことだ。真実は露見する、との箴言に震えて送る日々がそんなに愉しいだろうか。