国として邦人救出の法的手順は準備しておくべきだ。

 国民の生命と財産を守るのが国の一義的な使命なのは疑いない。よって半島有事の場合、3万人を超える邦人救出の手順を法制化しておくことは必要だし、それを相手国に通知して協議しておくことは政府として当然のことだ。


 ただし、思いつきのように首相が口から希望を述べただけなら浅慮の感を拭えない。まず国内法を整備して、こうした手順があると相手国へ事務段階から協議を持ちかけるべきだ。


 


 この国の官僚は自らの権益擁護に忙しく、国民の生命と財産を確保すべし、とする根源的な公務員の使命に疎いところがある。だから年金にしても自分たちの共済年金だけを別枠にして高額支給を続けている。国民に税負担の議論を同意させるように大手マスコミを煽って国家財政危機的状況を喧伝させ、その国と地方を合わせた借金残高900兆円に達するものがいかにして作られ、毎年の歳出のうち要素別で最大の費目は何かを分析しようともしない。それは言うまでもなく人件費なのだが、その削減について厳しい議論はついに見られないうちに増税議論が先行するのもこの国の高費用体質の元凶だ。


 


 根源的な問い掛けを国民も忘れて大手マスコミの扇動のままに「政治とカネ」とバカの一つ覚えの呪文を繰り返す。根源的な問い掛けとは、別段小難しいことではない。ただ「本当か」と疑ってみることだ。そして基本に立ち返って考えてみることだ。


 たとえば「高齢者医療保険」をなぜ分けて考える必要があるのか。「介護保険」をなぜ分けて考える必要があるのか、という単純な思考だ。そうすると「財源が問題だ」とする官僚の考え方の方が問題だと分かってくる。


 


 本来、税は国民の生命と財産を確保するために徴収している。それが徴税権の存在理由だ。しかし行政現場では厚生福祉は「保険」で対処しようとしている。つまり受益者負担という官僚のごまかしの屁理屈により、税とは別枠で福祉を考えるという論理だ。それでは税を徴収する意義は半減しているといわなければならない。


 国民は官僚による主客転倒の議論に巻き込まれているのだ。本来社会福祉は税で対処すべき問題なのに、厚労官僚は財務省が握っている財布の紐に遠慮して、保険と称する別枠の「税」を国民に課しているのだ。国民皆保険とはつまり「税」そのものということではないだろうか。


 


 それなら議論を本質へ戻すべきだ。厚労省は保険徴収額とその業務の議論をやめて、財務省に請求書を全額出せば良い。財務省も厚労省と二重の徴収系統だったものを国税庁に一元化して窓口業務を合理化し、無駄な官僚の勝手な土俵である「保険料金改定」の議論を止めることだ。それらはすべて税制議論の中に含まれる。よって消費税は基本的に20%になるかも知れない。しかし食料費課税などは欧米のように配慮すれば良い。そうすればどれほどの公務員が不要になるか考えてみると良い。


 ただ厚労官僚は自分たちの財布を財務省に取り上げられることになり徹底的に反対するだろう。もしかすると大手マスコミを味方につけて「厚労行政を蔑にする議論だ」と言い張って保険事業とその権益を手放すのに抵抗するだろう。国交省官僚が高速道路無料化に抵抗して大手マスコミも巻き込んで国民に無料化は「無駄だ」との意識を刷り込んだように。そのようにして高速道路の巨大な利権は解体されることなく守られた。


 


 邦人救出は政府として法的に手順を決めておくのは当然のことだ。現行法では自衛隊は海外へ出動できないから、戦闘地域へ民間の回船会社が国家のチャーターで出動するしかない。こんな世界の非常識が日本の常識なのだ。バカなことだが、日本に軍隊はないことになっている。邦人は勝手に帰るしかないのが現行法の考え方だ。日本は国としての一義的な使命すら遂行できない国なのだと、国民は認識しなければならない。いわゆる政治ごっこは止めて、国会議員も真摯に邦人救出の法的整備を議論すべきだ。



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