景気拡大に伴う経常収支赤字というけれど、

 米国の経常収支赤字が3.5%へ拡大していた。理由として景気回復に伴う輸入超過だというが、本当にそうなのだろうか。実は国内での生産力が喪失されたままなのではないかと思える。輸出も拡大しているではないかという反論もあるだろうが、それは操業度で解消できる程度のものだ。それよりも抜本的な米国の病理は金融不安がいまだに消えていないことだ。来年早々にも米国最大の金融機関が破綻するのではないかといわれている。


 


 日本にとって深刻な影響をもたらすと思われるのは中国経済がいよいよおかしくなっていることだ。消費物価が食料品を中心に5%ほど上昇し、金利2.5%の倍と中国政府は景気の舵取りに苦慮している。このままインフレーションと金利の乖離を放置するとカネはいよいよ不動産投資へ向かい、現在でも10%ほどといわれる不動産価格のバブル上昇傾向が本物のバブルになるのも時間の問題だ。日本のGDPを抜いたといわれる中国の経済力も国民一人あたりにすれば日本の1/10以下で国民の格差はいよいよ拡大している。


 


 米国も国内で富裕層と貧困層との二極化が問題とされている。食物チケットの支給を求める極貧層へ中流層から転落する人たちが増え、それが米国社会を不安定化させている。中国でも日本で報じられていない国民と政府当局(主として地方政府だが)との争議は年間5万件程度起こっているといわれている。正確な統計も自由な報道もないため中国国外で暮らす我々には隔靴掻痒の感があるが、日本人が常識として捉えている政府と国民の信頼関係を中国民は抱いていないようだ。国民に飯を食わせてくれる政府は良い政府で、飯を食わせてくれなくなったら中南海から追い出せば良い、と実利的に考えているようだ。


 そうすると、バブルが弾けてハイパーインフレが始まると中国政府要人は極めて具体的な危機を迎えるのではないかと思われる。


 


 日本政府はよほどしっかりと長期的国家戦略を立てて米国や中国と付き合わなければならない。いつまでも小沢氏マターで国民の目を誤魔化して無能・無策政府であり続けてはならない。官僚の自己増殖目的の各種制度をいつまで維持して些末な国民負担と世代間負担といった馬鹿げた議論を続けるのだろうか。税を税として税たらしめるように国民福祉の根幹に据えなければならない。各種「保険」と銘打ったチマチマとした官僚の提示する議論に乗らないことだ。すべては国民負担となるのなら、すっきりとした体系に改めて重複し錯綜する徴収・支給経路は合理化することだ。


 


 大きな議論がこの国政府と大手マスコミから提起されるのを望むが、それは一体いつのことになるのだろうか。今朝の読売新聞は「消費税議論を」とする社説を掲げているが、それすらも財政健全化のための手法として考えている程度のもので、この国の抜本的な各種制度の改定の基礎財源としては考えていない。ダダ漏れのバケツにいくら水を注ぎこんでも溜まることは決してない。官僚はダダ漏れの水に天下るため機能を果たしていないバケツを放置したまま注ぎ込む水を増やせと大手マスコミをせっついているのだ。真に批判的な論調をこの国の大手マスコミが取り戻す日はついにやって来ないかもしれない。彼らは常に官僚の広報機関に過ぎないのか。



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