小沢氏の問題に現れているこの国の壊れ方。

 大手マスコミの救世主が小沢氏だという。「小沢」という名前を見出しに散りばめれば購買部数が増え、テレビの視聴率が上がるといわれている。


 ブログの題にあえて「小沢問題」と見出しに書いたが、検索率上昇を狙ったものではない。小沢氏を巡る大手マスコミのあり方が「小沢問題」だと定義したかったのだ。


 


 去年の3月16日に突如として小沢氏の秘書大久保氏が逮捕された。西松建設贈収賄事件捜査として大々的に報じられ、結果として小沢氏は民主党代表の座を降りることになった。しかし現在は検察側の立証が大崩に崩れ、“無罪”決着が間近といわれ判決言い渡しを目の前にして法廷は半年以上も開店休業のままだ。そして訴因変更という禁じ手を検察は行い、大久保氏は政治資金収支報告書の虚偽記載で裁きを受ける模様だという。


 


 同じく小沢氏の元秘書で国会議員石川氏も去年の1月下旬から取り調べを受け、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)元役員らが小沢氏側に裏金を渡したと供述する2004年10月15日に東京へ行ったことを示す新幹線の使用済みのチケット類を東京地検特捜部が入手していたとしてテレビや新聞で「小沢氏関与の贈収賄か」として大々的に報じた。それがあって小沢氏が代表を勤める政治団体「陸山会」の土地購入資金に水谷建設から渡った4億円が使われたとするストーリーを検察は描いた。


 


 去年の三月以降、それこそ蛇口の壊れた水道栓のように来る日も来る日も新聞・テレビ・週刊誌までも総動員した報道で、大手マスコミによる検察リーク情報を「関係者によると…」という書き出しによりタレ流した。


 この一年半以上、当初は一社として誰一人として「小沢氏の問題」はおかしいのではないか、と疑問を呈するものはなかった。それはまるで集団ヒステリーのようでもあった。理性的な抑制の利いた論評は何処にも見当たらなかったが、しかし結果として水谷建設の贈収賄は証拠は上がらず立ち消えとなった。一方、大久保氏逮捕のきっかけとなった件でも、西松建設も中間に名目的に実体のない政治団体をロンダリング役としてに噛ませただけだと検察はストーリーを描いたが、政治団体の役員が大久保氏の公判に証人として出廷し「実態のある政治団体」との証言をして西松建設から攻める道も消えている。


 


 しかし、そうしたことを克明に報じる大手マスコミがあっただろうか。先日森ゆうこ議員の出演による議論でテレビ番組「朝ズバ」の出演者は西松建設事件がどうなっているのか、水谷建設事件がどうなっているのか、すら知らないで小沢氏を「政治とカネ」で汚い人物との先入観で論じ続けていたことが明らかになった。恐るべき無責任報道バラエティー番組だ。


 そして残る最後の「疑惑」04,05年の「陸山会」政治資金収支報告書の土地購入疑惑と称するものだけが残った。しかし、これも明らかな無理筋だ。町の不動産屋に収支報告書と登記簿謄本のコピーを見せれば理路整然と説明してくれるはずだ。その説明が出来なければ彼は「宅建取引主任」の免許を返上しなければならないだろう。


 


 つまり世間ではそれほど高度な専門的知識を必要としない、農地の転用には5条申請が必要で許可が出るのに概ね一月以上かかるのが常識とされているという日常的な事実など、そうした基本的なことを確認もしないで、検察リーク情報の「期ズレ」を大々的に大きな疑惑であるかのように大手マスコミは報じ続けた。テレビのMCや素人コメンテータまでもが誰の差金かシタリ顔で小沢氏の疑惑なるモノを捏造して喋り続けた。そして今も臆面もなく報じ続けて自らの無知蒙昧を世間に晒している。しかし晒すだけなら本人の愚かさが知れ渡るだけで済むが、ヒットラーの宣伝相ゲッペルスの言葉に「嘘は大きいほど良い。繰り返し嘘をつき続けていると国民はそれを信じるようになる」とあるように、小沢氏の「政治とカネ」なる文言を実態不明なまま繰り返し国民に「小沢氏=政治とカネ」と刷り込んでしまった。これがまともなマスコミのあり方だろうか。


 


 そして更に疑惑捏造の連鎖は続く。国会議員までも「政治とカネ」なる集団催眠術に陥り、小沢氏を国会に招致すべきだと騒いでいる。特に菅氏と岡田氏の法論理に基づかない感情剥き出しの言動にはこの国を託すに足る政治家ではない、と思わざるを得ない。


 この国は大事なところで壊れていると思わざるを得ない。法論理に基づくべき箍が外れ、大手マスコミは報道の自由の裏打ちとして遵守すべき「基本的人権」や「推定無罪」の民主主義の大原則を臆面もなく丸めてポケットの中へ突っ込み、大きな顔をして思惑で一政治家を一方的に貶めている。これはこの国で許されていることなのだろうか。国民は壮大なデマゴーグによる集団リンチを毎日見せられているのだ。これに勝る恐怖があるだろうか。


 だが、「小沢問題」は小沢氏だけにとどまらず、この国のあらゆる仕組みに張り巡らされた仕掛けの一つのような気がする。国民の知らないうちにこの国が壊れているのではないかと、2010年の締め括りに社会の様々なことを振り返ってみる必要があるのではないだろうか。



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