沖縄普天間基地移転の作業部会設置を急ぐ米軍とは。

 五月の日米合意以来、菅内閣の無為・無策に対して米国が痺れを切らして日本政府に作業部会設置を持ちかけているということだそうだ。菅政権は11月の沖縄県知事選挙に現れる沖縄県民の意思表示を待って、今後の移転計画を検討するつもりで引き伸ばしを計っていたものだが、米国は沖縄知事選で「辺野古沖への移設反対」が大勢を占めると予想して、この時期での見切り発車を求めたもののようだ。


 


 つまり明確に沖縄県民の辺野古沖への移設反対が示されれば普天間吉移設そのものが米軍の描いた絵の通りにならなくなる可能性が高くなる。その期に及んで日本政府が具体的な移設日程を決める「作業部会」を設置して協議に入ることは困難になるとして強行に既成事実化を計ったのだろう。


 しかしいかに既成事実を積み重ねていようと、日本は法治国家であり戦時ならいざ知らず、平穏な現状下で超法規的に辺野古沖の公有水面埋め立てに沖縄県の意思を無視することは出来ない。菅政府は実現不可能な日米合意を実施すると米国に約束したのであって、その矛盾が表面化しつつあるのだ。


 


 しかし米海兵隊部隊はその殆どがグアムへ移転する計画ではないのだろうか。その前段階で辺野古沖へ移転する必要がどの程度あるのだろうか。むしろ使い勝手の悪い普天間基地を返還して、それ以上の基地を日本に提供させるつもりでいるのではないだろうか。穿った見方をすれば、辺野古沖に基地を作ればそこを中国軍が海から攻撃するには太平洋側へ迂回しなければならないため、直接東シナ海から攻撃できる普天間基地よりも米軍は「安全」なことになる。そうした米軍の思惑があるのではないかとすら思えてくる。


 


 中国は南シナ海や東シナ海などへ露骨に膨張主義を海へ広げている。その一環として尖閣諸島へ触手を伸ばし日本国内に危機感が高まっている今こそ米国は絶好の機会と見て作業部会設置を持ちかけてきたのではないだろうか。中国の強硬姿勢は米国にとってはおそらく蜜の味なのだろう。弱腰の日本国民は米国に泣きついてくるしかないはずだ。だから米国も強行に辺野古沖を基地として奪えば良い、という理論だ。ついでに危険が増したのだから用心棒代を余計に支払ってもらおう、とする強腰に出てきたのだ。いずれにせよ、日本は何かにつけて犠牲を強いられるだけだ。


 


 こうした状態のままの日本を固定化するのが本当に良いことなのだろうか。中国、韓国、ロシア、米国と日本を取り巻く国々が日本を蚕食する状態にしておこうとする構図を、そのまま日本国民は受け容れるのだろうか。日本の大マスコミは中国の危機脅威論をあおり米国隷属が日本にとって良いことだと論を展開しているが、日本は戦後常に米国に隷属してきてこの有様だ。一向に日本は国家としてアイデンティティーを確立できないでいる。馬鹿高い用心棒代と様々な負担を強いられてきた結果が今日の状況だ。「日米同盟が壊れているから」中国が強気に出ている、とする政治家や評論家たちはこの間に米軍の何割が日本から撤退したのか説明して欲しい。そうしてこともなく言葉尻を捕まえて「日米関係の悪化」を煽るのは日本の大マスコミの米国隷属関係を如実にあらわした幇間マスコミという実態そのものだ。


 


 しかし日本国民の多くは米国隷属が日本を良くして来たのか、という疑問を抱き始めている。大マスコミが日本の世論を独占的に形成してきたが、ここに来てネットが次第に世論形成に比重を増しつつある。小沢氏を圧倒的に批判し排斥する大マスコミの胡散臭さに国民は気付き始めている。米国の焦りもそこらにあるのではないだろうか。


 日本を取り巻く大国と韓国の思惑に日本は翻弄されてきた。日本の大マスコミは米国とコミットしていれば日本は安全で日本の主権を維持するにはそれしかないと日本国民を騙し続けてきた。


 


 騙しではない、と大マスコミが反論するなら、今回の尖閣諸島に対する中国の強硬姿勢は日米関係に亀裂が入ったからだ、とする証拠を示さなければならない。そもそも日米関係の「亀裂」とは何だろうか。日本が米国のポチであり続けることが米国にとって望ましい日本のあり方だというのなら、日本国民はそのような国家のあり方を拒否しなければならない。


 主権国家として日本の防衛は一義的に日本国民が負うべきと記され、米軍は支援部隊に過ぎないのが現在の「日米安保条約」の基本原則だ。そこを読み違えてか故意に隠蔽してか、子供を守る大人の関係に日米安保を日本の大マスコミは国民に思い込ませてきた。今回の尖閣諸島の問題に関しても、米国が「守ってやる」と言ったとか言わなかったとかが問題とされて一喜一憂しているが、島嶼部は日本が防衛に当たるとされているのが日米安保条約の原則だ。過大な期待を米軍に持たない方が良い。


 


 日本国民は主権国家の基本に立ち返り、軍事力を持たないことが国の安全だとする馬鹿げた「9条の会」などに堂々と対峙しよう。日本が日本国民による軍事力をきちんと保持しなければ「竹島」も「北方領土」も解決を見ないだろうし、「尖閣諸島」も今後とも中国の捏造された史実によって侵害される危険が永続するとみなければならない。繰り返し述べるが、米軍は日本のために存在するのではない。米国の国益擁護のために存在する。だからたとえば日本の防衛を米国任せにしていて、中国と米国の国益が合致すれば、中国と米国で日本を分け取りする事態が生じないとも限らない、と想定しておかなければならないのだ。


 いかに用心棒代を弾もうとも、米国は善意で日本を防衛しているのではないことを肝に銘じておかなければならない。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。