事業仕分けは官僚の策に嵌っていないか。
蓮舫議員と枝野議員が舌鋒鋭く得意満面の事業仕分けだが、何かがおかしいと感じるのはなぜだろうか。今回は特会を仕分けるということで、いわば離れの勘定を検討しているが、そもそも離れを作ったのが間違いだという議論はなぜ出ないのだろうか。
単式簿記の官公庁会計は不備そのものだと、誰も思わないのはなぜだろうか。世界で官公庁が単式簿記を採用しているのは北朝鮮とアフリカの数ヶ国と日本だけだ。大勢は複式簿記を用いて企業会計原則を準用している。
企業会計原則に準じた複式簿記なら当然のことながら総額主義が採用されて特会の存在は許されない。すべては一枚の会計報告書に集約されるのが大原則で、一般会計とは別の引き出しや別の大福帳を各省庁が独自に持つことは許されない。つまりすべてが国会審議の場に提出され白日の下に晒されるのだ。
それを嫌っているのか、世界標準の複式簿記に公会計を改めようとする動きは皆無だ。マスコミも一言半句すら言及しない。不勉強な国会議員なぞは単式簿記の笊会計を懸命に仕分けのパフォーマンスに現を抜かして喜んでいる。そんなことは枝葉末節の末節に過ぎない。大本は会計様式を単式から複式へ改めて、個別的に管理している会計を総額主義の下すべての収支を一本化することだ。そして歳入庁を設けて電源特会も空港特会も、その他の官僚が握っている収入源をすべて歳入庁に明け渡すことだ。
国に入る金は何であろうと税とその変形だ。国民負担に何ら変わりない。それなら歳入庁で入金し、それを国会審議のうえで各省庁へ振り分ければ良い。その方が根本的に国会の目が光るし、族議員が良いようにしようとしても他の議員の目も光っている。そのことにより根本的な改革が可能になる。現在の事業仕分けのように生贄を仕分け人の前に差し出して本体を守ることも不可能になる。
複式簿記が全国の地方自治体にも及べばすべての連結決算も可能になる。つまり仕組みさえちゃんとすればこの国の公会計の総額が日々刻々と国民の前に明らかになる。誤魔化しも裏金も剰余金の溜め込めも不可能となる。
残るは本当の意味で政策決定だけとなる。官僚はしもべとして政治家の政策決定を遂行する役回りになる。今のように特会を手中にして政治家を掌で躍らすことは不可能となるのだ。一日も早く日本の公会計を世界標準の複式簿記へ移行すべきとする議論はいつになったら政治日程の俎上に上るのだろうか。大向こう受けを狙うパフォーマンス政治家と御贔屓の旦那のような役回りしか演じない日本のマスコミでは百年河清を俟つがごとく無理なことだろうか。