民主的な手続きで。
民主党に規約があって、民主的な党運営で9月に代表選が行われるのなら野次馬がとやかく言うべき立場にない。願わくば代表選の立候補者がそれぞれの政策を掲げて国民にも分かる形で堂々と選挙を行っていただきたい。変な取り引きを「挙党体制」の名の下に立候補を予定している人が立候補をしないで現職で決めるようなことを行うべきではなく、すっきりと分かりやすい手続きと途中経過を可視化することだ。
しかし大マスコミを中心に小沢氏に対する憶測記事が氾濫しているのはなぜだろうか。たとえ小沢氏が代表となり首相になっても「政治とカネ」で集中砲火を浴びて、国会は機能しないだろう、というものが圧倒的だ。何を勘違いしているのか岡田外相は原口総務相が「推定無罪の原則」があるから軽々に「政治とカネ」の問題で小沢氏を牽制するのはいかがかと発言したのに、推定無罪は法律の話で自分が言っているのは政治倫理の政治家の話だと反論したという。何とも愚かな話のやり取りだ。
「推定無罪」とは起訴されても有罪判決が確定するまでは無罪として人権を擁護する、との憲法に保障されている基本的人権だ。小沢氏はまだ強制起訴されていないから「推定無罪」に関する話でもないし、それが法律問題で政治家の自発的な倫理の問題だ、というのでもない。小沢氏は起訴すらされていないし、「推定無罪」は日本国憲法に謳われている国民にあまねく保障されている基本的人権の話だ。政治家に基本的人権はないというのなら岡田氏のいうことは正しいが、尋常な判断能力があれば岡田氏のオツムは相当いい加減だと言わざるを得ない。
このブログで何度も書いているから繰り返さないが、「政治とカネ」問題は検察が不起訴とした結果だけを見て戴けば分かる話だ。つまり「法と証拠」に基づいて起訴する検察が「不起訴」としたということは小沢氏に違法行為も証拠もなかったということだ。だからどうしても「小沢氏の政治とカネ」に関して説明すべきだ、というのなら問うべき相手は小沢氏ではなく検察であり、それを針小棒大に被疑者扱いして「小沢氏=悪」の構図を書き立てた大マスコミのしかるべき立場にある人たちだ。
小沢氏が民主党代表になったら即座に「政治とカネ問題調査委員会」を両院の国会議員の構成による特別調査委員会を作るべきだ。そして司法の暴走に対して歯止めをかける装置を作っておくべきだ。今回の小沢氏に関する一連の報道は余りに酷いものだった。検察しか知りえないはずの捜査情報がダダ漏れだったのは国家公務員の守秘義務に反するだけでなく、被疑者の基本的人権を侵害するものだ。政治家のプライバシーは制限されるものかもしれないが、基本的人権はあまねくすべての人に保障されている。
政治家が政策論争以外のファクトで代表選に立候補できるか否かの憶測をしている大マスコミは常軌を逸している。小沢氏に「政治とカネ」の問題があるのなら、「不起訴」判断をした検察は故意に問題を見逃したとでもいうのだろうか。それなら大マスコミが小沢氏が首相になるのは問題だというのも理解できるが、それなら思わせぶった記事ではなく具体的な証拠を明確に書くべきだ。さもなくば、今後一切触れないのが正しい報道のありかただと思う。デマをさも真実のように報道するのがいかに卑劣な行為か胸に手を当てて反省すべきだろう。
民主党代表選に誰が立候補しようと民主党規約に定められている手続きを踏み、正々堂々と政策論争を展開しなければ向こう三年間も国会の熾烈な議論に耐えられないし、国民の期待に応えられないだろう。現職閣僚が菅氏を応援するのは当然だが、相手候補者に名乗りを上げるかもしれない人について詰まらない言いがかりのような発言をしないことだ。それよりも自分たちが行っている政策や言動が日本の国の政府閣僚として妥当なものなのか真摯に反省する方が先ではないだろうか。民主的な手続きで純粋に政策論議で民主党代表が選出されることをこの国と国民のために望む。