絶えず完璧なテクノロジーを目指して。

 現代の暮らしを支えているテクノロジーの多くは役に立っているが完璧とは言い難い。たとえば車は「安全に速く目的地へ移動する手段」としてはそれなりに所期の目的を達成しているが、人を安全に、という面ではまだ不完全だ。それでもオペレイターをと限定すればそれなりに衝突実験や安全性確保の強化が図られている。しかし、すべての人の安全ということでは不完全そのものだ。往々にして車は殺人凶器へと変貌して歩道上や横断歩道上の人を殺傷している。


 


 力のベクトルからいえば、わずか数mの間隔で、いやある時にはわずか数十㎝の間隔で1.5tもの車が時速60㎞で疾走する。そのエネルギーは簡単に人を死にいたらしむものだ。それが道路という二次元で交差しているのだから、衝突すれば悲惨な状態になるのは明白だ。


 車はそうした意味では不完全そのものだ。それは飛行機でも同じことが言える。一定の安定的な空気の中で揚力を得るように設計されている物体はその前提が想定されているよりも条件が悪化すると墜落するのは当然のことだ。それなら空気抵抗に拠る揚力を当てにしない飛行物体を考えなければならないことになる。それこそが自然条件に左右されないで安定的に飛行する基本だろう。


 


 このブログで何度も取り上げているが、今こうして使用しているPCそのものも、実はいつ故障するか知れない代物だ。HDDそのものも僅かなアームとディスクの隙間を保って一分間に7000回転もしているのだ。その隙間たるや密閉してあるHDDの機密が破れると同時に侵入する空気とともに空気中の埃が詰まって忽ち使用不能になるほどの隙間だ。そのような主要部品に頼るPCが衝撃に弱いのはいうまでもないし、過酷な温度変化にも極めて脆弱だろう。そのような機器に人類はほとんどの情報管理や処理を委ねて新たな文明を築こうとしている。


 尤も温度変化や衝撃に弱いのは人と同じように集積回路も脆弱だからだろう。いまだに殺しの手段に最もアナログなナイフが使われたりする。その程度のことでも人は死ぬのだ。脆弱なのは人も同じことだが、人は身に降りかかる災難を予測しそれに備えることができる。しかし自らを認識する頭脳を持つようにセットされていないIT機器はあらゆる危機にさらされることになる。


 


 人は自然を楽しむことができるが、文明の機器は自然的なものを排除した一定の環境の中でしか性能を発揮できないようになってしまっている。しかし精密なIT機器も重く大きな置時計が防水や耐圧の腕時計に進化したように、いつの日にか身の纏って簡単に使えるようになるだろう。今はノート型の電子機器が持て囃されているが、それが一過性のものに過ぎないのは指摘するまでもないだろう。


 たとえば、かつて携帯電話が現在ほど進化する前は自動車電話が最先端なものとして存在していた。それは重く電気容量に問題のあってバッテリーを自動車の電源を使うことで解消し、電話機の大きさのものも自動車に搭載することで解消した。


 それと同じようなことを考えれば良いだろう。たとえば肩掛けのバックにPCの機能を詰め込み、表示パネルには自在に折れ曲がるフィルムをバッグの背面に使えば堅い板のような今のものよりも人に馴染むだろう。しかし、それで完成ではない。五年程度で劣化するPCなぞは人が頼りとするIT機器とは言い難い。現在のPCが膨大な集積回路を保持して機能するものである限り、半導体の気紛れな寿命と付き合わなければならないことになる。それならば出来るだけ集積回路をPCから減らし、単に表示と指示を与えるものに変化させなければならないだろう。記憶の保存などもPC上でするのでないことはいうまでもない。そうした新しいものの考え方でPCは進歩するしかないのではないだろうか。


 


 今ある技術のうち何を進歩させ、何を切り捨てなければならないのか。そして新たに何を獲得しなければならないのか、人は絶えずより身近なIT機器への希求と暮らしへの同化を求め続けるだろう。それは決して3D化ではなく大型スクリーン化ではない。体の一部へと同化することだ。あたかも腕時計へと櫓時計が進化したように。



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