冷静な目で両者の政策を見比べよう。

 これまで菅氏の政治信条や政策は分からないところがあった。なにぶんにも野党党首という性格から与党を攻撃する手腕は目立っても、この国をどのようにしたいのかという政策が語られることが少なかったからだ。しかし僅か二ヶ月余りとはいえ政策を語らなければならない参議院選挙を挟んだことにより、菅氏の政策と方向性が明らかになった。


 


 小沢氏の政策は先の衆議院選挙と前々回の参議院選挙で小沢氏が幹事長や代表として責任を持って策定され提示されたマニフェストを見ればある程度分かっていた。さらに十数年前に出版された書籍によれば小沢氏がこの国をどのようにしたいのか明快に描かれている。


 


 さて、今回は現実的な首相の座を目指す菅氏と小沢氏との代表選立候補表明だ。この国にとってどちらが首相になるのがより良いのか、民主党代表選のため一般国民は参加できないが国民的な関心が盛り上がるのは当然だろう。しかし大マスコミの論調を見ると「この国難の時に代表選をしている暇はあるのか」とか「民主党の内紛ではないか」とか「内輪の喧嘩より経済の立て直しが必要ではないか」といった的外れの批判ばかり目立つ。


 


 民主党は民主的な公党として党規約によって運営されている。今回の代表選が菅氏を任期半ばで引き摺り下ろす、というのなら内ゲバであり理念なき権力闘争だとの誹りを受けても仕方ないだろう。しかし、規約に従って任期による代表選を行うのが批判されるものではないし、実質的に首相を選択する選挙が権力闘争なのは当たり前の話ではないだろうか。


 


 しかしまたぞろ小沢氏に対するいわれなき批判が目立つのにはこの国の民主主義が熟成されていない、前近代的なものを感じざるを得ない。「秘書が三人も逮捕されているのに…」といった批判や「政治とカネ問題を抱えているのに…」といった類の小沢氏に関する批判だ。


 このブログで何度も書いているから繰り返さないが、彼らが起訴されている事実関係を調べれば良く分かるはずだ。そもそも起訴するほどの事件なのかと疑わざるを得ないことなのだ。小沢氏に関しても検察が根も葉もない情報を提供し大マスコミが書き立ててプロパガンダを国民に刷り込むのに成功したが、その挙句、検察は小沢氏を不起訴とした。現在は第五検審会の二回目の判断待ちだが、現段階では小沢氏は不起訴で無罪放免なのだ。その人を掴まえて「疑惑」があると言いたてるのなら、検察が調べて不起訴としたこと以外の疑惑とされる事実関係と証拠を示すべきだろう。


 


 人を安易に犯罪者扱いしないことだ。人はそれぞれ尊重されなければならないし、基本的人権は守られなければならない。個人的に小沢氏の政策が気に食わないと思うのなら、政策に関して批判すればよい。根拠のない人格攻撃は卑怯そのものだし、法治国家では「法と証拠」に基づいて行うべきで、仄聞でやってはならないことだ。


 それにしても大マスコミの程度の低さは何だろうか。民主党の代表選による政治的空白を作ってはならない、とか、権力闘争に他ならない、とか的外れな批判ばかりで、国民に伝えるべき彼らの政策と政治信条などはほとんど何も書かれていない。


 


 江戸時代の瓦版からそれほど進歩していない大マスコミに頼らず、国民は物事の本質を見抜く目を涵養しなければ大マスコミによる世論操作によって誘導されるこの国の政治の脆弱性を一掃しなければならない。向こう三年間は国政選挙はない、との信念で首相の座を争う二人は三年というスパンで政治を考え政策を提示してもらいたい。


 


 


 



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