経済大国であり続ける必要は、

 世界第2位の経済大国といわれて40年余、日本は確かに豊かになった。砂塵を巻き上げる国道や県道はなくなったし、町からバラックのような家並みも消えた。どんな田舎町へ行っても義務教育実なども立派だし、役所などの庁舎も人を圧倒するほどの威容を誇っている。


 


 いよいよ中国が日本を追い抜き、GDPで世界第2位の地位を失ったようだ。しかし、それならば日本が世界で担ってきた負担を今後は中国に代わってもらうべきだろう。国連の負担金だけでなく様々な負担、CO2排出基準も世界のGDP第2位に相応しい削減率と排出基準を適用すべきだろう。いつまでも「発展途上国」だとして責任を回避することは許されない。


 


 日本は42年間もGDP世界第2位であらゆる指数の世界比較でも豊かな国になったが、心の貧困までは克服できなかったようだ。先日も母親の育児放棄で2人の幼児が餓死したし、電気を10年も切られていた無職の76歳と48歳の親子の父親がこの暑さの中、クーラーが使えなくて熱中症で亡くなった。そして100歳以上だけでも200人を超える所在不明者の存在が判明している。


 


 豊かな国とは国民一人一人に温かな眼差しを向ける国のことではないだろうか。いかにGDPが肥大化しようとも多くの国民が疎外感に苛まされ、実際に網目から零れ落ちるように所在すら気に掛けられないのは貧困そのものといえないだろうか。


 日本が中国を再び追い抜くのはそれほど困難なことではない。円為替を相場から切り離し、中国のように強引に国家管理にすれば良い。85円ではなく200円程度にすればたちまち国内産業は好況を呈するだろう。ガットに抵触するわけでなく、制裁措置があるわけでもない。しかし世界金融は崩壊の危機に瀕することになる。日本だけが為替相場の圏外に去って自由に振る舞うことは許されない。


 


 中国はまさに世界基準から外れたことを平気で行って自国だけに有利な基準で勝手な行動をしている。『元』のことだ。現在の元レートは1/2程度だといわれている。日本が1$170円前後で固定しているようなものだ。そうすれば輸入品も価格が二倍になってインフレになるが、輸出品価格も二倍になって国内産業の業績は劇的に改善されるだろう。そうしたことを考えれば中国の好況がいかに脆弱なものか明らかだ。


 


 それにしても人口が日本の十倍以上の中国のGDPが日本を超えたことがそれほど喜ばしいことなのだろうか。一人あたりで比較すれば1/10以下ということになる。すでに地方政府の地方債総額が一年分の国家予算に迫っているという。いや既に超えているのではないか、とする説もあるが正確なことは分からない。中国は地方政府の債券発行を認めていないから国家による統計資料もないのだ。


 


 日本はGDPを追い求めてはいない。必要なのは安心・安全な国家と国民一人一人が尊重される国の制度だ。そのために働くのが官僚のはずだが、彼らが自分たちの懐勘定ばかりしているかのようにしか見えないのが最大の問題なのだ。それを管理監督すべき政治家が官僚に使われては何にもならない。官僚制内閣を打破しなければならないが、官僚そのものが国家を運営して民主的な選挙を一度も実施していない中国の官僚制度の病理は日本よりも格段に深刻だ。その面でも、中国の先行きは平坦な道でないことだけは明らかだ。



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