任期満了に伴う民主党の真っ当な代表選だが

  何が言いたいのかよく分からない論評だ。小沢氏を推す議員をテレビに登場させて司会者が質問を浴びせるのは良くあるパターンだ。それに対して受け答えが上手か下手かは小沢氏の責任ではない。そうした議員を選んだテレビ局の問題だろう。


 


 「三ヶ月前に辞めた人が…」と書かれているが、三ヶ月前に小沢氏が辞めたのは幹事長だ。代表は去年の五月に辞めている。それも起訴されて辞めたのではなく、秘書が捜査され逮捕されたから辞めたのに過ぎない。そして三ヶ月前は鳩山氏が普天間基地移設問題で「最低でも県外」が辺野古沖となったことから責任を取って辞める際に「小沢さんも…」ということから辞めたのだ。


 


 三ヶ月前の幹事長辞任と検察捜査とは何ら関連性はない。そして普天間基地移設で党幹事長だった小沢氏に出番はなかった。むしろ外務大臣や防衛大臣や沖縄担当大臣の前原氏も共同責任を取るべきだったが、彼らは誰一人として責任を取っていない。政府代表の鳩山氏と党代表の小沢氏が責任を取ったのだ。


 


 それから僅か三ヶ月で代表選に出るのがケシカランというのも分からないでもないが、それなら何ヶ月謹慎していれば良いのだろうか。任期満了によって実施される党代表選に当たって、立候補するのがそんなに不謹慎なのだろうか。「政治とカネ」で「起訴されるかもしれない人が」代表選に出るのが不適当というのも良く分からない。


 


 すでに検察判断では三度も「不起訴」になっている。「法と証拠」に基づく法の専門家が不起訴判断したものを、メンバーも審議経過も公開されない検審会で「市民」感情によって「起訴相当」とされることがそんなに重大事なのだろうか。


 人を裁く裁判の裁判員制度ですらメンバーと公判過程は公開されている。それが公訴すべきか否かの段階で「市民」の判断を天の声でもあるかのように大騒ぎするのはなぜだろうか。起訴されれば首相の適格性を失うとでも内閣法に定められているのだろうか。


 


 この国が三権分立で検察が捜査権と公訴権を併せ持つ最強の官庁だということに鑑みれば、検察の犯罪に甘くなりがちな検察判断へのお目付け役に設置された検察審査会を使って小沢氏を「法と証拠」によらないで法廷に引っ張り出そうとする悪意が見え隠れする。


 


 「選挙、選挙、」でウンザリする、という批判は民主主義の否定そのものだ。選挙のない国が良いのなら北朝鮮か中国へ行くことだ。民主主義というのは非効率な仕組みだが、独裁者が治めるのより遥かに良い制度だ。物事を決めるのに手数がかかるのは民主主義の対価だと思わなければならない。


 


 普天間基地移設に関しては防衛事務次官だった人の近著に詳しく書かれているが、その人の言を信じれば国外移設は可能だ。ただし、国内の沖縄利権に群がる政治家や業者と熾烈な戦いを覚悟しなければならないだろう。それを「できもしない甘言だ」と批判して済ますのか、それとも期待して小沢氏に任せるのか、それは民主党員と民主党所属議員の判断に懸かっている。


 


 批判は容易い。評論家は批判するのが仕事だから批判すれば良いが、人を頭から否定してはいけない。そして選挙を何度も行って首相を年に何度も代えるのは「ケシカラン」というのは一人の首相による長期政権を望むということなのか。評論家はその根拠と長・短所を示して国民に判断を仰がなければならないだろう。曲がりなりにも国民が政治に関与できる機会は選挙しかないのだ。選挙を忌み嫌うことは国民が政治に参加する機会を奪うことに他ならない。それでも良いのか、と聞かなければならない。



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