百家鳴争して…

 なんと詰まらない記事を掲載するものだろうか。こうしたことが国民の関心事だから取材して記事にしているのかもしれないが。


 しかし少し冷静に考えれば民主党静岡県連の某氏が「選挙結果の責任は小沢氏にある」と言うのは自己の責任に微塵も言及しない愚かな発言だ。全国的に比例総数は減少したとはいえ第一党の票数を獲得しているし、地方区の全国得票総数も民主党が第一党だ。選挙の仕組みで第二党に転落しているだけで、選挙戦略をコツコツと構築していた小沢氏の方針は間違っていたと責めるのは筋違いで、最後の詰めの段階で代わった党本部の幹部連中が戦略戦術を誤ったというべきだろう。


 


 「不起訴不当」とした検審会の内容が報じられたが、不起訴不当とした根拠としては何とも不可解だ。まず「4億円ものカネの移動を知らなかったというのは市民感覚では理解できない」という文言があったが、検察が問題としたのは4億円の支出ではなく支出した年月日と記載した年月日が異なるとした「虚偽記載」だ。つまり4億円を認識していたか否かは問題とされてなく、記載日がいつだったかを小沢氏が認識していたかどうかが問題なのだ。記載した日付を間違えたのを以て「虚偽記載」と追及する石川氏の瑕疵を、小沢氏も承知していたかどうかということなのだ。


 


 マスコミもテレビのコメンテーターも評論家も揃いに揃って恰も小沢氏が政治資金4億円を不正に着服したかのように国民に勘違いさせるかのような発言を繰り返しているが、そうしたことなら検察は間違いなく小沢氏の身柄を拘束して拘留しているだろう。事実はそうではないのだ。検察もそうした政治資金の私的流用があるとは各種証拠から認識しているわけではなく、単に記載期日が実際の日付から二ヶ月ほどずれているのを問題としているに過ぎないのだ。それが「虚偽記載」としてマスコミが煽りに煽って大騒ぎしている実態に過ぎないのだ。


 そうした観点からみると、検審会の市民は充分に素人の程度の低い週刊誌程度のマスコミによって小沢氏に関して作られたイメージ「政治とカネ」の線に沿って判断したに過ぎないことが良く分かる。4億円ものカネが動いたのを小沢氏が知らないはずがない、と検察がその点は問題ないとしているにもかかわらず、小沢氏に関して誤った情報をマスコミがタレ流した報道のまま、あるいは馬鹿なテレビコメンテーターの発言を鵜呑みにしたまま、正義面をして勘違いの議決書を作成したのだ。


 さらに「政治資金規正法は政治家に都合の良い法体系になっている」と政治資金規正法を批判しているが、それは小沢氏を不起訴と判断した検察と何ら関係ないことだ。検審会は検察判断の是非を検討・判断する場であって、政治資金規正法の是非を判断する場ではない。小沢氏の不起訴不当とする検審会決議文に記載すべき文言でないのは明白だ。


 


 この程度のお粗末な検審会判断を得て上へ下への大騒ぎしている国会議員やマスコミとは何だろうか。恰も「天の声」を聴いた庶民が両手を大地についてひれ伏しているかのようだ。検察は的外れの検審会決議をもらって何もしないだろうと想像できる。


 しかし「為にする報道」の怖さは身に染みる。市民が判断する検審会は正しいかのような報道が流され、その決議となった事実確認と検察が問題としている観点とのずれを指摘する評論家が、もしくは法の専門家が一人もテレビで発言しないのは奇妙な情景だ。検審会の勘違いは自分たちにとって都合の良い勘違いだから放置しておこう、とするのならマスコミの自殺行為だ。社会正義でもなく、法治国家の番人でもなく、ただ政治家が愚かしいか否かに拘わらず政局となって大騒ぎしていれば、国家として政治が機能していようがどうであろうが、ついには官僚が国政を動かすのだから問題ないし、そのような国家へと軌道修正する絶好の好機と捉えているとしか思えない。


 


 多くの国民は小沢氏をその容貌から時代劇の悪代官のようなイメージで見て、彼が窮地に貶められるのを拍手喝采して見物しているようだが、その裏で進行している官僚たちと一部政治家たちの自民党政権回帰への動きにこそ注意を喚起すべきだ。大マスコミも彼らに手を貸すとんでもない連中だということは小沢氏に関する一連の検察情報タレ流しで明白だ。今回も検審会決議文の検証を掲載した新聞が一紙でもあっただろうか。


 「市民感覚」の法律分野への介入を許すのはやめた方が良い。法曹界もこのような愚かしい行為で法治国家の公訴権という根幹が揺らぐような状況を放置していて良いはずがないだろう。法律の専門家として弁護士が絶対に誤らないとは思わないが、少なくとも証拠採用に関して順当なものの見方をするに違いないし、見当違いな法律の適否判断を決議文に持ち込むような愚は犯さないだろう。しかし、小沢氏の一連の検察捜査に対して法曹界から批判の声が上がらない、この国の法律専門家の静けさは何だろうか。



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