自民政権へ回帰するのか。

 ここ二十年、バブル崩壊以降の日本の政治は余りに酷かった。経済で自信を失うと、政治までも明確な目標を失ったかのようだ。ただ政治も官僚も手を拱いている間に企業の生産手段の中国移転は加速度的に進み、国内雇用力の低下は深刻な事態となり就職氷河期は慢性的になり、ついにこの四月の大学新卒者のうち7人に1人が就職できなかった。


 


 この成長なき二十年間は政治家だけでなく経営者にも問題があった。企業利益を上げさえすれば何をしても良い、との倫理観なき経営が定着し市場原理主義の小泉政権により派遣業の歯止めがなくなると労働力の流動化が始まった。それをマスコミも良いことだ、と歓迎し生涯に何社も転職することが世界のトレンドであるかのように囃した。ただ、一つの業界だけは頑なに終身雇用制どころか生涯雇用制の城壁を築き上げてしまった。それは税金を食って肥大化している官僚機構だ。


 


 9ヶ月前に国民が総選挙で自民党と公明党の連立政権に「ノー」を突きつけたのは官僚制内閣に対してだった。彼らがしてきたのは米国から要求された「行政改革要綱」に対する理念なき盲従だ。あたかも戦勝国が従属した国に対するかのような要求に対して、日本は屈し続けついには米国ですら官業のままい国内均一サービスを維持している郵便事業まで民営化へ踏み切った。その有様は屈辱的ですらあった。


 


 当然ことだが、米国の政権交代した民主党に対する態度は素気ないものだった。鳩山氏が米国で開催される国際会議に渡米すると鳩山氏だけはまともな会談もせず、メシの合間に10分間だけ話したに過ぎなかった。カナダの会議へ出かけた菅氏に対しても各国首脳と話し合った最後にわずかな時間話し合っただけだった。それが同盟関係を謳う国に対して取るべき態度なのだろうか。これまで日本が米国に果たしてきた国際的に大きな役割に対して、余りにバカにしていないだろうか。


 


 今回の参議院選挙で民主党は苦戦しているという。自民党政権への回帰に燃える官僚と親米マスコミの誘導により菅氏は昂然と「消費税増税」を口走った。政権は国家財政に責任を持たなければならないというが、そんなことは菅氏に言われなくても国民は分かっている。ただ官僚たちの責任はどうなっているのかを問いたいのだ。政治家の影に隠れているが自民党政権下にこの国を動かしてきたのは実質的に官僚だったと国民は知っている。同時にその乱脈ぶりも知って呆れ果てているのだ。


 


 自民党政権へ回帰を願う親米マスコミは露骨な選挙誘導をしている。格好の例が毎週のように実施される各政党の支持率であり、選挙区ごとの情勢分析と称する記事だ。国民は極めてアナウンス効果に弱い。なぜなら隣近所のことなら分かるが、広い選挙区全体のことは分からないし、ましてや全国のうねりは想像すらつかない。そうすると選挙情報をマスコミに頼ってしまわざるを得ない。そこに「増税」の民主党だ。まっとうな直接支給の少子化対策の重要政策までも「経済効果がない」と切り捨て、「バラ撒き」と批判してみせる。その結果赤字国債が積み上がって行くとしているが、これまで積み上がっている山のような国債は国民に直接支給された結果ではない。原因は他にあるのに、直接支給だけをあげつらうのは官僚の利権に寄与しない政策を潰したいだけだ。仏国では子供手当により劇的に出生率が回復基調にあるというのに。


 


 将来展望を切り開くのか、それとも閉塞感に満ちていた自民党と公明党の連立政権へ回帰するのか、国民に政権選択への選択を問われる投票日までもうすぐだ。



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