政治の風景は昔に回帰することはない。

 自民党的な派閥利権利害調性型の政党が政権中枢に長くいたが、今後の日本に利権を肥大させて乾分を養っていく政治土壌の再来はありえない。事実、自民党も小泉以降は派閥力学を政権内部で採ることは不可能となり、全会一致が原則だった総務会ですら強硬に多数決で強行突破した。つまり利権構造に多種多様な価値観を持つ政治家が妥協しつつ官僚の描いた絵に従っていた構造が、経済が成長しない中で妥協できるほどの分け前に預かれなくなっていた。


 


 二大政党というからには何らかの論理的な対立軸がなければならないが、現実社会を律するほどの大きなイデオロギーの対立のない状況で、右翼だ左翼だという分け方は適切でない。社会は混沌としたカウス状態となり、社会構造の在り方や公務員制度改革の在り方や税制改革の在り方や少子化対策の在り方や国防の在り方や果ては国のカタチの在り方まで、一人一人の政治家で異なるとしたら明確な対立軸など存在しないのと同じだ。


 


 対立軸なき政党政治とは何か、との小選挙区是非までさかのぼる根本命題に突き当たることになるが、つまり世界はそうした状況に突入しているといえる。東西対立など国家存亡をかけた対立関係が消えた世界では次なる政治課題が澎湃としてボウフラのように湧き上がり、ボウフラのような政治家が好き勝手な発言をし、国民のボウフラのような政治家の薄っぺらなパフォーマンスに拍手喝さいを浴びせて大した考えもなく困難な政治状況を造ってしまった。


 


 今後三年間は日本の政治は機能しないだろう。それも国民の選択だ。大局観を持って相手を大きな度量で包み込む政治家の出番がなくなり気の利いた発言とイケメンがテレビに再々登場しお笑い番組と国会状況が同等に報じられる政治の地盤沈下に国民が怒らない国民性はマスコミの格好の餌食だ。政治的に不幸な状況が続くことを国民は覚悟しなければならないだろう。それもこれも不定見にマスコミ報道に乗せられて薄っぺらな政治家に拍手を送り、この国の状況を変え得る政治家を疎んじたツケが回っているのだと観念しなければならないだろう。


 


(今朝は早朝より多忙で上記までしか書けなかった。続きを昼休みに書き足します)


 


 ボウフラのような、と一部の議員を揶揄したが、それは議員だけではない。政党と称するものまでもシングルイッシューを掲げて立ち上げ、マスコミが取り囲むようにして他の巨大政党と等しく報道し、実際の存在よりも拡大して国民の目に映して見せた。


 それが魅惑的に写ったのだろう。みんなの党は健闘して10議席得てご満悦のようだ。しかし彼らは限られた項目で独自の政策を提言しているに過ぎない。明確な国家像を示しているとも思えないし、普天間基地一つにしてもどうするのか、具体的にいえば防衛に関しても不透明なままだ。その意味では民主党と大して変わらないといえるだろう。


 


 しかし国民を魅了する手法は大したものだが、所詮はボウフラ政党だ。三年後に予想される衆参同時選挙まで「アジェンダ」と称する政策の薄っぺらさと、人材難をどのようにカバーするつもりだろうか。今回はうまく波に乗れたが、それがピークだと心しなければならない。


 確かに官僚はこの国を破壊的に自分たちの利権組織に作り上げてしまった。それを許したのは自民党とそれに手を貸した公明党だ。その事実を忘れてはならない。そして「みんなの党」のツートップも自民党議員と自民党首相の秘書だった人だ。彼らのDNAがやがて本性を現すだろう。


 


 菅政権は早くも死に体になった。民主党潰しは着々と進んでいる。みんなの党も偉そうに民主党を詰っているが、詰っているだけでは何もできない。みんなの党の最大案件・売りの「公務員改革」で実を上げるには民主党と話し合うしかないだろう。話し合わなければ今の状況が続くだけで、国民へのアジェンダが空手形に終わることになる。公務員制度が現状であり続けることを是認するのなら「偉っそうに」していれば良いだけのことだ。なんとも軽い人たちの集まりの政党だと国民が判断するだろう。


 


 この国を憂いてこの国のために政治生命を擲ってでも国のカタチをきちんとしようとする意欲に燃える政治家はいないものだろうか。口を開けば人の揚げ足を取り、悪口を言って相手を貶めることにしか頭脳の働かない政治家はもうたくさんだ。


 マスコミも実態のない「政治とカネ」なぞというワンフレーズを繰り返すのをやめてはどうだ。国民は何となく疑惑があるように思ってしまう、だが実態は検察判断では二度とも不起訴・無罪なのだ。「政治とカネ」なる文言を使う場合は誰のどのような「金」で、どのように法に抵触して問題なのかを明らかにすべきだ。そして疑惑があるがごとく報道してきた小沢氏に対して謝罪記事を書くべきだろう。敏腕弁護士に頼めば何月何日のどの記事の何処が法から逸脱しているか、ここ一年半もの各紙を検証してもらえばたちまち数十以上もの記事を指摘するだろう。


 警察・検察の記者会見で発表された内容をタダ無批判にタレ流すのは報道機関として節操のない態度といわなければならない。


 


 官僚によって国の隅々にまで張り巡らされた利権構造と、それに従事する公務員たちの高額給与と共済年金は現在の国と地方の財政からすれば犯罪的ですらある。民間企業ならリストラや給与カットは実施されていてしかるべきで、賞与などは言語道断だ。菅首相は国家破綻になれば福祉政策はなくなる、と国民を脅したが、それはとんでもないことだ。まず公務員が路頭に迷うべきで、長年にわたり納税してきた国民の最も弱い層に迷惑が及ぶとは何事だ。党首がそのような感覚だから民主党は大敗したのだ。民主党応援団を自認してきた者として断腸の思いだ。



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