筋が違いはしないだろうか。
宮崎県の口蹄疫で被害を蒙られた畜産農家の方々へしかるべき復興策を立てるのは宮崎県としても当然の措置だが、国としても今後の同等なケースについての前例ともなるため総合的な判断に基づいた対策を取らなければならないだろう。
ただその場合に柱となるべきは農水省であって、経産省ではない。産業振興は経産省が窓口になるべきだが、この場合は口蹄疫という畜産農家への被害救済が中心となる。間違ってもファンドありきであってはならない。
宮崎県知事は何を勘違いしているのか、経産省へ行って口蹄疫対策を依頼したが農水省へは立ち寄らなかったという。畜産農家のみならず口蹄疫被害者は口蹄疫の蔓延した地域の各産業にも広く及んでいるのは想像に難くない。だから商工会などがプレミアム付きの商品券販売なども地域限定で行って商工業者へも被害救済の一環にしようとするのも頷ける。しかし、それでも農水省を中心として関連省庁の担当者を集めて協議すべきだ。
たとえば台風などで風水害を蒙った地域の振興策を立てるとして、国交省を外すことがあるだろうか。まずは担当所管省庁が中心となって対策を練り、関連省庁へ呼びかけるのが筋だろう。
宮崎県知事は口蹄疫に汚染された地域の種牛の殺却処分を拒否し数頭を生存させようとして農水省と対立した。そうしたことは許されることでもなく、口蹄疫が抑え込めず各地へ蔓延すれば日本の畜産業そのものに壊滅的な打撃を与える。情に流されてはならないことが何か分からないようでは最高指揮官は勤まらない。時に最高指揮官は非情でなくてはならないのだが、人気頼みの知事は県民の情にほだされかけた。
ともあれ、口蹄疫は終息したようだ。あとは地域の復興と畜産農家の一日も早い立ち直りの為に行政は汗を流すべきだ。些細なメンツにこだわっている場合ではなく、筋は筋として農水省へ胸を張って出掛けて県民のために真摯に話し合うべきだ。