菅内閣は短命に終わる。
鳩山前首相が政権と一緒に放り投げた様々な問題を、菅政権は引き受けなければならない。マスコミが鳩山政権を追い詰めた「普天間移設」問題や、検察とタッグチームを汲んでマスコミがでっち上げた小沢氏の「政治とカネ」問題の後始末などがある。
これまでの菅氏の政治経歴を見ると抜け目のない立ち回りと巧みなポピュリズムに特徴がある。そして、今回の組閣を見ると脱・小沢と自身の側近(荒井氏が唯一例外だが)を重用しなかったことが特徴的だ。
政権中枢に一番に取り込んだのは松下政経塾出身者と前原氏の仲間のようだ。つまり最もマスコミを巧みに使う政治家を登用した布陣ということだろう。結果として当初は無難に滑り出しても、困難な局面に到と菅政権を本気で支えるべき長年の側近たちはそっぽを向き、人事で干された小沢一派は菅政権を支えないだろう。
菅氏が重用した三役を勤める政治家はかつて菅氏を真っ向から批判した経歴を持つ。仲間の立場よりも自分の立ち位置と人気を優先する政治家は落ち目になった首相を支えないし、もちろん泥を被って庇うことなどは間違ってもしないだろう。なにしろクリーンを標榜しているのだから、自分が汚れてはいけないのだ。
さて、普天間移設問題では岡田外相が地元の合意を得なくても米国と協議して工法や図面を引くことはできる、などと発言している。それを騙しと言わないで何だろうか。
なぜ鳩山政権の初志貫徹で「国外移設」と言い出さないのだろうか。マスコミ得意の世論調査をしてみれば分かることだ、国民の多くは米軍に帰ってもらいたいと願っている。国民の意を呈して行うのが政治なら、米国に国民の総意として段階的に撤退して欲しいと言い渡すことだ。それができなければ早晩行き詰るのは火を見るよりも明らかだ。
うまく小沢氏を扱ったと菅氏は内心ほくそ笑んでいるかも知れないが、菅政権は小沢氏の影響も受けない代わりに協力を仰ぐこともできない。そして閣内には次期首相を目指すポピュリズムの権化たちを抱え込んでいる。菅氏が鳩山氏の泥を被らなかったのと同じように、最終的に菅総理を身を挺して助ける人もいないだろう。