普天間問題を避けて、日本の将来展望は拓けない。

 普天間問題は日米同盟の在り方のみではなく、日本の国を日本人が本気でどうするのかを問われている問題だ。そのことは同時に日本だけの問題でないのは勿論だが、米国と日本とのかかわり方のみの問題ではついに終わらない。周辺諸国もこの問題に絡んで日本を日本の国民がどうするつもりかを試金石として見ていると思った方が良い。


 


 おそらく日本が米国の言いなりになるのは米国にとっても日本の支配層にとっても望ましいことなのだろう。日本が米国の助けなしには武力行使もできない、防衛力に特化した変則的な軍隊の自衛隊にしても情報収集やハイテク兵器のブラックボックスなどに関しては米国なしには日本は全くのお手上げだ。日本は絶えず米国の庇護の下にいなければ身動きできない状態に置かれている。


 


 しかし、米国も世界展開している軍隊の大部分を日本国内88箇所の軍事施設に置いて、極東のみならず中近東からアフリカまでカバーしている。もしも日本の基地を米軍が失えば世界展開している米軍の80%が無力化するといわれている。つまり米国にとって日本の基地は得難い世界戦略の拠点になっている。だから米国は日本国民が反米によるのを心底恐れている。万が一にもそうなった場合、米国は国益優先の観点から日本を一時的に占領するのも辞さないかもしれないし、そうしたことが可能な軍事力を首都圏に展開している。


 


 そうした厳しい現実をきちんと認識した上で、それでも日本はいつの日にか国民が守る国にならなければならない。


 普天間基地移設に関して民主党政権は沖縄や徳之島の島民と話し合うのではなく、そのことに関して米国と話し合うべきだ。対等とか対等でないとか、そうしたことは問題ではない。日本を日本国民が守ると意識し始めた日本の世論を相手に、どうやって辺野古沖を埋め立てることを日本国民に承知させるのか、現実的に果てしなく困難なことを米国に認識させることだ。


 


 菅政権は今のところ対応を誤っている。いや、誤っているのは日本のマスコミだろう。今まで通りに沖縄県民も最終的には渋々承知する、と事態の深刻さに気付いていない。パンドラの箱が開いたことに気付いていない。「ルーピー」と嘲笑した日本の首相が口先だけだったにせよ、一旦言葉として出した以上、取り消すことは不可能だ。一見もっともらしく「学べば学ぶほど…」と暗愚な首相を官僚に脅されて演じて見せたが、米国の意を汲んだ田舎芝居だと見抜いた国民が何人もいた。


 


 普天間問題は危険な側面を孕んでいるが、日本の将来へ向かって避けて通ることはできない。辺野古沖ヘの移設を強行すれば日本国民は米国に対して頭の上がらない日本政府に対してではなく、米国と日本国内の米軍基地に対して強い反感を抱くようになるだろう。どうしようもない米国のダブルスタンダードを日本国民が知らないと思ったら大間違いだ。中国や北朝鮮に対して人権外交を口にする米国が戦争中に何をしたか、日本人は忘れてはいない。木と紙と土でできた街を焼き尽くすために大量の焼夷弾を日本の主要都市に落とし、挙句の果てに原爆まで投下した。それだけでも明確な戦争犯罪だ。見せしめのように日本人を極東裁判で裁いたのは事後法で戦勝国によるリンチのような裁判でだったが、米国の戦争犯罪は当時既に存在していたジュネーブ条約で充分に罪に問えるものだ。


 


 米国は大人しく控え目な日本をあまり甘く見ないことだ。いつまでも痛めつけると、いつの日にか反感へと変わり強い覚悟を心の奥底に抱くようになるかもしれない。武士の魂を持つ国民を心の底から怒らせないことだ。日米合意を守れ、と日本政府だけに荷をかけて、日本国民が苦しむ道をあまり採らせない方が良いと、米国もそろそろ折れないと普天間問題が普天間と辺野古沖だけで終わらなくなる恐れがあると認識すべきだ。



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