法治国家で法に従うのは当然だが。
北教祖の違法献金事件の責めを負って小林議員が辞意を表明した。北教祖から1600万円の献金に関して団体が政治資金規正法違反に問われ罰金50万円の判決が出たことによる。受け取った方としては会計責任者が禁固6ヶ月執行猶予三年を言い渡されている。控訴することも検討しているようだが、判決が確定すれば連座制により小林議員の議員当選無効を求めて札幌高検が行政訴訟を札幌高裁に提訴することになっている。
何とも後味の悪い事件だった。ここでも政治資金規正法が振り回され、法に疎い担当者が罪に問われた。もちろん小林議員陣営に選挙資金として受け取った献金を隠そうとして意思はなく、選挙報告書に1600万円が明記されている。ただ選挙後援会が受け取ったから問題になっただけだ。政治資金規正法に届け出た政党支部が受け取っていれば全く問題なかったのだ。受け取った政党支部が選挙資金として小林議員の選挙後援会へ支出していれば政治資金規正法に問われなかった。それだけのことなのだ。しかし、それでも法は法である。
同じ選挙区の有力な対抗馬だった町村氏の選挙報告書では1500万円で済んでいるらしい。実際に確かめたわけでなく報道機関もなぜか町村氏の選挙資金を全く問題にせず報じなかったから確認のしようがないが、仄聞するところでは1500万円で済んでいるらしいのだ。さすがは大物議員だから小林氏よりも少額の選挙資金で済ませたようだ。だから落選したのかもしれないが、国民の誰もがその事実を知ると納得するわけがないのではないだろうか。
マスコミは実に不平等で不公平だ。公職選挙法に基づく選挙収支報告書をすべての議員に関して総額だけでも報道してもらいたい。そうすれば選挙なるものがどれほど怪しげなものか実態が分かるだろう。法治国家だから法律に従うのは当然だし、小林氏が議員辞職するのはやむを得ないと思うが、それにしても不公平感は拭えない。スピード違反と同じで捕まった者が運が悪いのだろうか。それとも違反に問われなかったすべての議員は公職選挙法に照らして一点の曇りもなく清廉潔白なのだろうか。
マスコミは国民に知らしめる義務がある。捜査当局が問題とした事柄をしつこく報道するのも使命だろうが、問題としなかった人たちの選挙収支報告書もすべて公表してはどうだろうか。