ここ半年の政局を静かに振り返ろう。

 大マスコミは鳩山首相が小沢幹事長を道連れに退陣すると足の踏み場もないほど喜んだ。そしてご祝儀としてまだ何もしていない、課題山積の菅内閣に「世論調査」と称する高い内閣支持率をプレゼントした。


 これほどポピュリズムの政治を日本に定着させた大マスコミの罪は深い。事実よりも大本営から漏れ聞く情報の方を珍重し、特定の人物を抹殺するかのような報道に終始した。そしてその人が政権党の重要な立場から去ると拍手喝采をしている。大マスコミはこの国と国民を何処へ導こうとしているのか、想像しただけで背筋が寒くなる。


 


 民主党の主だったポストにはかつての民主党の面々が返り咲き、自由党の面々と小沢氏の息のかかった議員が姿を消した。かつての仲良し同好会に民主党は逆戻りしたわけだ。理屈は延々と議論するが、実際の選挙にはほとんど役立たない言葉だけの政党にだ。


 誰のお蔭で政権に就くことができたのか、それほど遠くない過去だからよくよく振り返ってみると良い。百パーセント小沢氏の力量によることは疑いを挟む余地はない。人が他人に好悪の念を抱くのは理屈ではないと理解しているつもりだが、それにしても国民の小沢氏に対するイメージが悪いのはなぜかと考えるまでもなく、その因果関係が余りに明らかなために愕然とする。


 


 昨年の三月から検察による小沢氏の政治資金収支報告書の会計責任者への執拗な攻撃が繰り返され、さも小沢氏の巨悪を暴く突破口になるとでもいうかのような報道が驟雨のように小沢氏に浴びせかけられた。その通りだとしても気の毒としか言いようのない凄まじいものだった。小沢氏は堪らず五月に党代表の座を鳩山氏に譲り、幹事長へ退いた。


 しかし事実はそうではなかった。検察は西松建設の疑惑事件と大騒ぎしたが、小沢氏に結びつくものはなかった。結果として検察は政治資金収支報告書の記載ミスという「訂正してくれよ」「はい、わかりました」程度で済むことで会計責任者だった元秘書を相手に裁判を起こしている。


 


 その後の三人の秘書の場合はもっとひどい。これも政治資金規正法の記載ミスを梃に中堅ゼネコンから5000万円のワイロを受け取ったと、大マスコミは断定記事を連日のように報じ、捜査官が隊列を組んで強制捜査に着手する絵を繰り返しテレビで報じた。そして世論調査だ。小沢氏に幹事長辞任・議員辞職を求める声が80%を超えたと連日のように報じ、テレビのニュースキャスターがしたり顔で「小沢氏=巨悪」のように報じ続けた。


 その結果はどうだったのか。最強の東京地検特捜部をしても不起訴とするしかなかったのだ。つまり泰山鳴動して確たる証拠が出なかったのだ。その時点で検察と大マスコミは小沢氏に謝罪すべきだった。しかし彼らは厚顔にも「不起訴はシロではない」なぞと強弁した。


 何度もこのブログで書いたことだが繰り返しておく。不起訴はシロで、起訴猶予が灰色だ。しかし起訴猶予が灰色といっても、テレビなどの公器を使って「灰色だ」というのは人権無視ということになる。なぜなら彼は法的に「灰色」と決着をつけられたわけではない。単に検察が独白のように「疑わしいのだけど、仕方ないか」と呟いたに過ぎない。つまり彼も法的にはシロなのだ。


 


 だが、検察が不起訴とした結果を受けた検察審査会が摩訶不思議な文章を弄して「最高権力者」と小沢氏を断定して「起訴相当」とした。小沢氏が最高権力者なら強制捜査を受けなかっただろうし、いわれのない検察リーク情報で大マスコミから連日のように叩かれなかっただろう。つまり小沢氏は最高権力者などではない。最高権力者は誰でも勝手に強制捜査できる検察であり自由に国民世論を操れる大マスコミだ。この国は自由と法を盾に特定の人物を抹殺できる仕組みを持っている。小沢氏は類稀な精神力と忍耐力で耐えたが、普通の人間なら心が折れて自殺もしかねなかっただろう。それほどのことを彼らは小沢氏に一年以上もの長期間やり続けたのだ。


 


 この国の法学者が沈黙している理由が分からない。この国の人権団体が沈黙している理由が分からない。いまだに政局が小沢隠しにより民主党に有利になったなどと分析してみせる政治評論家は、その前に言論人として小沢氏の一連のいわれなき誹謗中傷に自分たちも関わったことを少しは反省してはどうだろうか。そしてポピュリズムでこの国の政治が動く幼稚さを嘆くことの方が先ではないだろうか。



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