時代の変革に立ち向かうには

 相変わらずマスコミは鳩山政権の首を獲ろうと懸命に鳩山氏の首相としての個人的資質についてまで追及している。それにテレビ番組で民主党批判している新聞社の御用評論家までも一緒になって「首相の常識力欠如」(5/29読売新聞朝刊)なぞと大見出しで最後の攻勢を強めているのは一種異様な感がする。そこまで執拗に鳩山氏を潰したいのは他によからぬ思惑があるからではないかとつい疑ってしまう。


 


 民主党政権ができて9ヶ月ほど経った。その間、普天間問題だけしかしていなかったわけではない。自民党以外の政党が初めて本格的な政権に就いて以来、これまでの政策の見直しを随分としている。たとえば八ッ場ダムの問題だ。全国に建設中の140ものダムが本当に必要なのか、という投げかけた意味は大きい。米国では古いダムを撤去して昔の川へ戻しているほどだ。


 諫早湾堰の開閉問題も現在検討中だ。自民党政権だったら決して検討すらしなかったはずだ。今はまだ迷走中だが、高速道路料金も無料化へ向かって動くものと期待している。無責任な利権構造で40数兆円もの借金を道路公団が積み上げたのは自民党政権下だった。その膨大なツケをどうするかで民主党政権が頭を悩ましているのだ。


 


 だから民主党政権はこれからも自民党政権時代に「よろしく」やっていた連中の甘い利権構造を徹底的に見直さなければならない。けっして後退してはならないし、普天間問題で躓いたからといってオタオタと狼狽えないことだ。戦後六十余年の間碌に政権交代がなかったため様々な澱が日本社会の隅々まで溜まってしまったが、何と言っても最大の利権構造は官僚と外郭団体の関係だ。しかも国民の税と負担金を食い物にしていてその罪は大きい。そうした構造の存在を承知しつつ、放置して報道すらしなかったマスコミの責任は鳩山氏の普天間問題で迷走した責任と比較されるべくもないほど巨大だ。


 


 しかしiPadが昨日日本でも発売され、情報環境は大きく変わろうとしている。全国紙が今後とも現体制を維持するのはますます困難になるだろう。テレビというチャンネル数の限られていた世界を各紙が独占することでメディアまでも支配してきたが、これからは大メディアが情報を支配し続けることは困難になるだろう。


 ものぐさな手に物を持って歩きたがらない日本男子が多い中で(日本女子はバッグやカバンを持ち歩くのが好きなようだが)iPadがそれほど爆発的に普及するとは思えない。持ち歩きのゲーム機よりは見やすいかも知れないが、PS3ほどの臨場感と迫力は得られない。気軽に持ち歩けるモバイルと競合するかもしれないが、各種ソフトが動いて仕事のツールになっているモバイルを駆逐するとも思えない。HDDに相当する部分にはフラッシュメモリが使われ、値段によって16GBから64GBまでしかない。


 テレビなどでは大いに騒いでいるがiPadのCPUに相当する部分のクロックは1GHzと販売されているPCと単純に比較すると処理能力は半分にも満たない。本や新聞などの配信には問題なく使えるが、動きの速いスポーツ観戦などではどうだろうか。


 


 だがiPadの普及やモバイルなどの通信環境の充実により紙に印刷され配達される新聞はやがて駆逐されるだろう。そうすれば環境を謳い文句にしているマスコミが最も環境に負荷をかけている現実を少しは改善できるだろうが、大新聞各社は今後のビジネスモデルの構築に頭を悩まさなければならなくなるだろう。


 


 いよいよ時代は変革へ向かう。沖縄の「基地反対」の声は自民党政権下では押し込まれていたが、鳩山首相がパンドラの箱を開けてしまった。もはや引き返せないだろう。


 日米同盟は大事だが、片手で握手しながら片手は握り拳を固めている姿勢も必要だ。米国にすべてを委ねるのは必ずしも日本の国益にならない。米国も今のまま世界に君臨し続けるのかというと必ずしもそうではないだろう。国際基軸通貨としてドルは年々立場が低下している。軍事力で相手を抑え込むことが最善の方法でないと世界が知り始めている。イラクがそうだったしアフガンもそうなるだろう。古い話だがベトナムもそうだった。中南米でも米国は支配力を失ったままだ。日本がいつまでも都合の良い金庫としてドルを支えることはできない。そして沖縄県民に勃然と興ったナショナリズムを政府も抑えることはできないだろう。なによりも外国軍隊が長年駐留することの方が不自然なのだ。


 変革の時代を日本は迎えている。この変革の混乱が嫌だから旧体制へ戻そうとマスコミは全力で民主党政権潰しに奔走しているが、国民までもがそれに踊らされると「小泉政権下の熱狂」に酔いしれている間に何が起こったか、冷静に考えなければならない。米国と仲良しの小泉氏をテレビなどが持ち上げて無批判に支持している間に、国民は大きなツケを背負わされた。今度の鳩山政権バッシングも小泉首相当時と比較してベクトルの向きこそ正反対だがしつこさと狂奔度は同じだ。全国三紙が同じように騒いでいる問題には問題があると思った方が良いだろう。



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