「次の首相は誰か」とは

 自民党の平沢議員が都内で開いた自身のパーティでキャンベル国務次官補の口から標記の問い掛けがあったという。


 自民党議員に対するリップサービスとも受け取れるし、かつて自民党が支持率の低下した首相を自党内で盥回しした実績を皮肉ったのかもしれない。しかし平沢氏もマスコミも鳩山首相が米国政府から見放された証拠だと論評している。


 


 他国のマスコミがそう伝えたのなら表現の自由の範囲内としてまだ許せるが、他国の政府高官がたとえパーティの席であるとはいえ、我が国への内政干渉であるかのような首相を馬鹿にした発言をして、それを耳にした国会議員がたとえ野党といえども悦に入ってはいけない。「それは日本国内の問題で、沖縄の負担を少しでも軽減したいと願うのは私も同じだ」と、憮然として見せるぐらいの見識と度量が必要だろう。沖縄問題で大きく躓いた日本の首相を米国政府高官からバカにされて喜んでいるようでは、平沢議員も日本のマスコミも本気で沖縄の負担を少しでも軽減しようと思っていない証拠とでもいうべきだろう。


 


 法によれば鳩山氏は自身が「辞める」と決断しない限りは最低でも衆議院議員の任期一杯は首相であり続けられる。これまではあまりにも簡単に首を挿げ替えてきたことにより、日本の首相が世界の政治家から軽く見られるようになっている。小泉氏以後二回続けてサミットに出た首相は一人もいない。一年ほどで次々と交代しては世界の政治家は日本の首相を相手に本気で外交交渉できないため、首相が代わっても代わらない官僚相手に交渉するのが慣行になってしまった。それが今回の普天間移設問題を巡って米国が政治家相手に交渉するのを嫌がった真相だ。そのため最終的に官僚が自分たちがまとめた自民党時代の日米合意案へ回帰させるシナリオに誘導し、官邸もそれに乗るしかなかったのだ。実はワシントンの本意は国外移転を民主党政権が本気で言い出せば譲歩せざるを得ないと覚悟していたとの話もあるようだ。しかし自民党時代の日米合意で基地問題が動くと防衛利権に巣食う連中が想定して支度しているため、日本の都合で動かせなかった等の話がまことしやかに囁かれている。そこらへんの闇に覆われた部分はいずれ時が真実を暴くだろう。なぜ、若い頃に米国に留学して日米関係に精通しているといわれる鳩山首相が突如として「学べば学ぶほど海兵隊が抑止力として働いていると知った」などととぼけた発言をし「最低でも県外移設」を断念したのか。それが鳩山首相の愚かさの証左だと決めつけるほど愚かなことはない。その発言をする直前に鳩山氏に何かあったと考える方がまともだろう。


 いずれにせよ政治主導の外交は政権交代で局長以上ぐらいの幹部官僚をすべて更迭しなかったために頓挫した。政治家は苦労した挙句にやっと政権交代しても、自民党時代に日米合意を成し遂げた官僚がそのまま居座り続けていては、従前の政策を変更しようとはしないのが人情だろう。そして火急的に対応すべき事案が持ち上がっても、官僚たちは悠然とサボタージュを続けた。口蹄疫の場合について初期対応までの一月以上の遅れをじっくりと時系列に従って検証してみると良い。マスコミは危機管理を実際に取り仕切るのは官僚だと百も承知の上で農水省担当官僚を無罪放免としながら、一方では初舞台で戸惑う農水大臣などの政治家を批判した。その結果として10年前の口蹄疫での殺処分35頭だったものが今回は20数万頭になってしまった。


 


 マスコミや言論界が首相を批判し論評するのは健全な民主主義のために必要だ。しかしそれに悪乗りして外国の政府高官までもが日本の首相を揶揄してはいけない。それは外交に障害をもたらすだけでなく、その国の品位を貶める行為でしかない。キャンベル米国務次官補がどの程度の人物か知らないが、最低限の常識すら持ち合わせない単に陽気な米国人なのだろう。



このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。