地域エゴと進化しない国防議論

 鳩山首相の不用意な「知れば知るほど海兵隊の必要性が分かってきて…」により、新たに米軍海兵隊が日本防衛のプレゼンスになるのか否かとの議論が湧き上がるのかとジャーナリズムを注視してきたが、一向にその気配はない。その代り「五月末までに普天間移設のスキームができなかったら鳩山首相は退陣するのか」とか、あるいは「五月末までの決着が意味するのは日米合意だけでもできることなのか…」とか、およそ国防のための日米安保条約であり、日米安保条約に謳われている日本国内の基地提供条項に基づく米軍の戦後一貫して長期間日本国内に広大な基地を占有して居座っていることの是非も含めて議論しなければ所詮は基地の玉突きゲームを日本国内で繰り広げるだけなのに、そうした根本的な提議をどのジャーナリストもしない日本の言論界とはなんだろうか。


 


 安保条約に米軍が日本の防衛に一定の役割を果たす一方で日本は基地を提供する義務を負うとする条項があるが、同時に基地使用に関して米軍が直接日本の基地から海外へ展開する際には日本政府と事前協議することになっている。しかし現実に米軍がパキスタンやアフガンやソマリアなどへ移動する際に日本政府と事前協議した痕跡が見えないのはなぜだろうか。


 日米安保条約が変質したのなら変質した事実に条約を合わせなければならず、日本の防衛に駐留米軍が実働のうち何割ほど働くのかによって国内基地の削減と「思いやり予算の削減」を実施しなければならないだろう。そして米国から高価にしてあまり国防に役立たないF15は購入をやめて、F22が米軍の機密機だから日本に売らないというのなら、日本独自に国防のためにF22並みの航続距離を持つ戦闘機を開発しなければならないだろう。その場合は当然のこととして開発後の戦闘機を外国に売却できるように法律も変えて、武器輸出も解禁しなければ莫大な開発費を日本国だけで担うことは非効率に過ぎる。そして日本が本気で開発すれば米軍のF22をあらゆる面で上回る戦闘機を日本人の手で作れるだろう。世界の武器輸出大国が国連の安保理常任理事国と一致している事実を日本国民は冷静に考えなければならない。


 


 岩国でも5/23にこれ以上の米軍移設を「断固拒否する」5000人集会を実施するそうだ。パンドラの箱を開けたように全国各地で米軍移設反対運動が澎湃として湧き上がっている。


 誰だって自分の暮らす町に迷惑施設は来ない方が良い。不幸にして日本が他国の侵略にあって戦争が始まったら、真っ先に敵が叩くのは軍事施設だ。そうした危険とも無縁でいたいと思うのは人情だ。しかし毎年着実に軍事予算を増して軍事大国となり日本近海で軍事示威行動をとる国や、国民は飢えと統制経済で塗炭の苦しみに喘いでいても核兵器を開発しミサイル開発には優先的に予算を回すだけでなく不法行為をしても全く恥じない国や国際法を無視して北方の島々を占領し続けて大きな顔をしている国々に囲まれている以上、日本が第9条を憲法条文に飾っていても何の役にも立たないことは自明の理だ。


 


 日本の駐留米軍撤退の道筋と、日本国防のあり方について真剣に議論しなければならないところまで来ているようだ。これほど地域エゴが公然と表明され、マスコミがその動きを政局に利するためだけで持ち上げるようでは日本は危うい。長年日米安保で守られている幻想に馴らされてきた日本人は国防の任に日本人が当たらなくても何とかなると思っているのだろうか。国粋主義的な右翼も考えものだが、第9条のお題目を唱えていれば安全だと思い込んでいる根拠なき防衛論も困ったものだ。そろそろ現実的な問題として米軍抜きの国防を議論すべき時期に到っているのではないだろうか。



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