ネットの「ブラックアウト」もイラン国民の自由への欲求を掻き消すことは出来ない。
<ウラジーミル・プーチンによるインターネット遮断は、今や「規模と技術的な高度さの両面で前例がない」。取り締まりは「持続的かつ組織的で、全国規模のブラックアウト(完全な遮断)、特定サービスの選択的なスロットリング(帯域制限)、そして特定プロトコルへの標的型干渉を組み合わせている」。
プーチンのインターネット遮断は、組織的な弾圧として機能
これは「2025年のインターネット遮断のコスト」(the Cost of Internet Shutdowns in 2025)と題する新たな報告書が発した警告だ。同報告書は、プーチンの戦略が「ロシアを国別コスト表の最上位に押し上げ、2025年に記録された世界全体の経済的影響の合計の半分超を占めた」と結論づけている。
その「コスト」は、ロシア経済に与えた衝撃的な119億ドル(約1.9兆円)の打撃である。比較のためにいえば、2位のベネズエラへの打撃は、すでに荒廃した経済に対してより控えめな19億1000万ドル(約3016億)にとどまる。
膨大なコストを伴う「ブラックアウト」ないし「国家によりインターネットの検閲」を行う国がある。それらは押し並べて独裁体制国家だが、「「ブラックアウト」──プーチンのインターネット遮断、イランの突然の切断は何をもたらすか」との見出しにある通り、イランも「ブラックアウト」を実施しているようだ。
2025年の調査では、ロシア全土で合計37,166時間に及ぶインターネット遮断が発生し、ロシアのほぼ全人口に相当する1億4600万人に影響が出たという。 ネットの一時的な遮断であっても国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼすが、平時からインフラやトラフィックを「ロシア化」し完全に管理しようとすれば、インターネット事業者の負担は激増し、商業活動、通信、情報へのアクセスが妨げられる。
これらのコストは、ロシアがウクライナ侵攻以降、西側諸国のソーシャルメディアや独立系ニュースサイトへのアクセスを制限・遮断し、インターネット統制を強化していることによって発生している。Top10VPNはこうした損失により戦費の増大や西側からの制裁と並び、ロシア経済にとって大きな重荷になっていると指摘している。
中国のインターネット検閲(金盾/グレート・ファイアウォール)に費やされる正確な総額は公式には公開されていないが、国内外の調査機関や報告書に基づくと、そのコストは年間数十億ドル(数千億円)規模に達すると推定される。
主なコストの構成は以下の通りだ。
1. 政府による直接的な予算支出年間支出額の推計
プーチンのインターネット遮断は、組織的な弾圧として機能
これは「2025年のインターネット遮断のコスト」(the Cost of Internet Shutdowns in 2025)と題する新たな報告書が発した警告だ。同報告書は、プーチンの戦略が「ロシアを国別コスト表の最上位に押し上げ、2025年に記録された世界全体の経済的影響の合計の半分超を占めた」と結論づけている。
その「コスト」は、ロシア経済に与えた衝撃的な119億ドル(約1.9兆円)の打撃である。比較のためにいえば、2位のベネズエラへの打撃は、すでに荒廃した経済に対してより控えめな19億1000万ドル(約3016億)にとどまる。
「16KBカーテン」を展開することで、西側サイトへの接続を制限
報告書を公表したTop10VPNは、「特に注目すべき(ロシアの)戦術として、いわゆる『16KBカーテン(16KB Curtain)』があった」と述べる。これはCloudflare(クラウドフレア)がホストするウェブサイトやその他の西側サイトへのアクセスを、最初の約16キロバイトのデータのみを読み込ませることで制限するものだ。ブラックアウトではないものの、これによりほとんどの現代的なウェブサービスは事実上使用不能となる。部分的な接続性を維持しているように見せかけながら、広範な混乱を引き起こした」という。
これは、より広範なスプリンターネット(Splinternet、グローバルに統一されたインターネットが国家や地域ごとに分断・断片化していく現象)戦略の一部に過ぎない。この戦略には、グーグルやWhatsAppなど西側技術に対する部分的な禁止措置に加え、ロシアを西側から完全に切り離す主権インターネット(Sovereign Internet)への切り替えを可能にする「ビッグ・レッド・ボタン(緊急遮断スイッチ)」の脅威も含まれている。
この新たな報告書は、「Cloudflareは西側のウェブ基盤とオンラインサービスの相当部分を支えているため、このような形でそれを狙い撃ちにすることは、主権的な『RuNet(ルーネット。Russian Internetを意味する)』というロシアの構想に向けた、もう1つの具体的な1歩となった」と記す。
報告書を公表したTop10VPNは、「特に注目すべき(ロシアの)戦術として、いわゆる『16KBカーテン(16KB Curtain)』があった」と述べる。これはCloudflare(クラウドフレア)がホストするウェブサイトやその他の西側サイトへのアクセスを、最初の約16キロバイトのデータのみを読み込ませることで制限するものだ。ブラックアウトではないものの、これによりほとんどの現代的なウェブサービスは事実上使用不能となる。部分的な接続性を維持しているように見せかけながら、広範な混乱を引き起こした」という。
これは、より広範なスプリンターネット(Splinternet、グローバルに統一されたインターネットが国家や地域ごとに分断・断片化していく現象)戦略の一部に過ぎない。この戦略には、グーグルやWhatsAppなど西側技術に対する部分的な禁止措置に加え、ロシアを西側から完全に切り離す主権インターネット(Sovereign Internet)への切り替えを可能にする「ビッグ・レッド・ボタン(緊急遮断スイッチ)」の脅威も含まれている。
この新たな報告書は、「Cloudflareは西側のウェブ基盤とオンラインサービスの相当部分を支えているため、このような形でそれを狙い撃ちにすることは、主権的な『RuNet(ルーネット。Russian Internetを意味する)』というロシアの構想に向けた、もう1つの具体的な1歩となった」と記す。
西側でも、インターネットの自由に対する脅威に警戒すべき
皮肉なことに、これは同時期に、西側におけるインターネットの自由もまた新たな、そして前例のない脅威に直面していることと重なる。ポルノ規制、ソーシャルメディアの禁止、年齢確認チェックの導入が進み、位置情報を隠すVPNの利用が急増している。かつては鉄のカーテン(旧ソ連)や竹のカーテン(中国)の向こう側にいる人々のものだったはずの手段が、皮肉にも広がっている。
ロシアについていえば、「これらの措置は、インフラ層での検閲へのより広範な転換を反映している。すなわち、情報へのアクセスを抑え、経済活動を損ない、回避を困難にするために設計された、持続的で技術的に精密な制限」なのだ。
皮肉なことに、これは同時期に、西側におけるインターネットの自由もまた新たな、そして前例のない脅威に直面していることと重なる。ポルノ規制、ソーシャルメディアの禁止、年齢確認チェックの導入が進み、位置情報を隠すVPNの利用が急増している。かつては鉄のカーテン(旧ソ連)や竹のカーテン(中国)の向こう側にいる人々のものだったはずの手段が、皮肉にも広がっている。
ロシアについていえば、「これらの措置は、インフラ層での検閲へのより広範な転換を反映している。すなわち、情報へのアクセスを抑え、経済活動を損ない、回避を困難にするために設計された、持続的で技術的に精密な制限」なのだ。
抗議活動を弾圧するため、イランは全国的なブラックアウトに突入
また現在、イランも注視すべき状況にある。イランは2025年のランキングではそれほど上位に現れないが、状況は今大きく変わりつつある。まさに一変した。NetBlocksは、「ライブのネットワークデータは、Tehran(テヘラン)およびイランの他地域がデジタル・ブラックアウトに入りつつあることを示しており、複数のプロバイダーでインターネット接続が低下している。今回の新たな事案は地域的な遮断に続くもので、抗議行動が広がる中、現地で起きている出来事の報道を厳しく制限する可能性が高い」と報告している。
同監視プラットフォームは「イランは現在、当局が全国的なインターネット・ブラックアウトを課して以降12時間オフラインで、全国の接続性は通常水準の約1%で横ばいだ。これは政権の残虐行為に関する報告を隠しつつ、広範な抗議行動を抑え込もうとする試みだ」と投稿した。
また現在、イランも注視すべき状況にある。イランは2025年のランキングではそれほど上位に現れないが、状況は今大きく変わりつつある。まさに一変した。NetBlocksは、「ライブのネットワークデータは、Tehran(テヘラン)およびイランの他地域がデジタル・ブラックアウトに入りつつあることを示しており、複数のプロバイダーでインターネット接続が低下している。今回の新たな事案は地域的な遮断に続くもので、抗議行動が広がる中、現地で起きている出来事の報道を厳しく制限する可能性が高い」と報告している。
同監視プラットフォームは「イランは現在、当局が全国的なインターネット・ブラックアウトを課して以降12時間オフラインで、全国の接続性は通常水準の約1%で横ばいだ。これは政権の残虐行為に関する報告を隠しつつ、広範な抗議行動を抑え込もうとする試みだ」と投稿した。
イランの遮断は、ロシアの洗練された検閲とは異なる
Top10VPNの遮断報告書を作成したサイモン・ミリアーノは筆者に次のように語った。「イランの現在の全国規模のブラックアウトは、反対意見を粉砕することを意図した鈍器のようなもので、ロシアで見られる洗練された、じわじわと進行するデジタル検閲とは明らかに異なります」。
これに伴うコストは依然として深刻なものとなる。「この『キルスイッチ(強制停止)』的アプローチは驚異的な代償を伴います」とミリアーノは言う。「インターネット接続が停止している間、毎時156万ドル(約2億4600万円)がイラン経済から流出しています。2026年はまだ始まったばかりですが、この政権は、昨年積み上げた意図的なインターネット妨害による2億1500万ドル(約339億4400万円)の請求書に、すでに積極的に上乗せをしています」。
しかし、イランのインターネット遮断がロシアに追いつくことはないだろう——現在の遮断が2026年の大半にわたって続かない限りは。そうなるよりもはるか前に、何かが限界に達するはずだ。>(以上「Forbes」より引用)
Top10VPNの遮断報告書を作成したサイモン・ミリアーノは筆者に次のように語った。「イランの現在の全国規模のブラックアウトは、反対意見を粉砕することを意図した鈍器のようなもので、ロシアで見られる洗練された、じわじわと進行するデジタル検閲とは明らかに異なります」。
これに伴うコストは依然として深刻なものとなる。「この『キルスイッチ(強制停止)』的アプローチは驚異的な代償を伴います」とミリアーノは言う。「インターネット接続が停止している間、毎時156万ドル(約2億4600万円)がイラン経済から流出しています。2026年はまだ始まったばかりですが、この政権は、昨年積み上げた意図的なインターネット妨害による2億1500万ドル(約339億4400万円)の請求書に、すでに積極的に上乗せをしています」。
しかし、イランのインターネット遮断がロシアに追いつくことはないだろう——現在の遮断が2026年の大半にわたって続かない限りは。そうなるよりもはるか前に、何かが限界に達するはずだ。>(以上「Forbes」より引用)
膨大なコストを伴う「ブラックアウト」ないし「国家によりインターネットの検閲」を行う国がある。それらは押し並べて独裁体制国家だが、「「ブラックアウト」──プーチンのインターネット遮断、イランの突然の切断は何をもたらすか」との見出しにある通り、イランも「ブラックアウト」を実施しているようだ。
ロシア政府によるインターネット遮断や制限は、同国経済に年間数十億ドル(数千億円〜1兆円超)規模の甚大な経済的損失をもたらしているといわれている。特にVPNサービス調査会社Top10VPNの2025年のレポートによると、ロシア政府が意図的に行ったインターネット遮断による経済的損失は、約119億ドル(約1兆7000億円超)に達し、世界で最も大きな損失を出す国になっている。
2025年の調査では、ロシア全土で合計37,166時間に及ぶインターネット遮断が発生し、ロシアのほぼ全人口に相当する1億4600万人に影響が出たという。 ネットの一時的な遮断であっても国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼすが、平時からインフラやトラフィックを「ロシア化」し完全に管理しようとすれば、インターネット事業者の負担は激増し、商業活動、通信、情報へのアクセスが妨げられる。
これらのコストは、ロシアがウクライナ侵攻以降、西側諸国のソーシャルメディアや独立系ニュースサイトへのアクセスを制限・遮断し、インターネット統制を強化していることによって発生している。Top10VPNはこうした損失により戦費の増大や西側からの制裁と並び、ロシア経済にとって大きな重荷になっていると指摘している。
中国のインターネット検閲(金盾/グレート・ファイアウォール)に費やされる正確な総額は公式には公開されていないが、国内外の調査機関や報告書に基づくと、そのコストは年間数十億ドル(数千億円)規模に達すると推定される。
主なコストの構成は以下の通りだ。
1. 政府による直接的な予算支出年間支出額の推計
米国国際貿易委員会(USITC)などの報告によると、中国本土の検閲システムにかかる年間費用は約66億ドル(約9,500億円以上)と見積もられている。 2026年現在も中国政府は、国内外の情報の監視・操作のために「かつてない規模のリソース」を投じ続けており、AI(人工知能)を活用した最新の検閲技術の導入も進んでいる。
2. 人件費と監視体制従事者数
2. 人件費と監視体制従事者数
かつて2013年時点で200万人以上がインターネットの検閲や世論誘導に従事していると報じられた。 これらの中には、SNS上のキーワードのフラグ立て、世論の監視・誘導、不適切とみなされた投稿の削除などが含まれる。
3. 経済的損失(間接的コスト)ビジネスへの影響
3. 経済的損失(間接的コスト)ビジネスへの影響
外国企業が中国市場から撤退を検討する要因(Googleの例など)となるほか、インターネットの遮断や制限によって生じる経済的損失は、2025年のデータで約37.3億ドルに上るとの試算もある。また 2026年現在、中国国内のインターネット企業は自社プラットフォーム上での事前検閲や厳格なデータ管理を義務付けられており、これに伴うコンプライアンス維持やシステム構築のコストも膨大だ。中国政府はこれら検閲に関わる詳細な予算や人件費の内訳を秘密にしているが、国家安全保障や世論の安定を最優先事項としており、そのためのコストは年々増加傾向にあると指摘されている。
イラン政府も独裁体制国家の例にもれず「ブラックアウト」を実施している。ただし、プーチンのインターネット遮断と異なり、杜撰な「ブラックアウト」のため、近隣諸国のインターネット情報や衛星中継の電波傍受によるネット接続など幾つもの抜け穴があるようだ。
ただ引用記事では「インターネット接続が停止している間、毎時156万ドル(約2億4600万円)がイラン経済から流出しています。2026年はまだ始まったばかりですが、この政権は、昨年積み上げた意図的なインターネット妨害による2億1500万ドル(約339億4400万円)の請求書に、すでに積極的に上乗せをしています」というから、イラン政府がいつまでもネット遮断を持続するのは不可能だ。さらにスターリンクなどの支援があれば、一部地域限定となるもののネットを民間人で提供することも可能だ。いずれにせよ、国民の自由への欲求を止めることは誰にも出来ない。