ベネズエラが民主国家になることを望む。

<ドナルド・トランプ米大統領は2025年12月中旬、ベネズエラに出入りする石油タンカーの封鎖を命じ、同国のニコラス・マドゥロ政権に対する圧力を劇的に高めた(編集注:トランプは3日、ベネズエラに対する大規模な攻撃を成功裏に実施し、マドゥロを妻とともに拘束したと発表した)。米国はこれまでにベネズエラ沖で複数の石油タンカーを拿捕している。トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で「われわれから盗んだ石油や土地、その他の資産をすべて返還するまで」ベネズエラに対する包囲は続くと脅した。

 ホワイトハウスのスティーブン・ミラー大統領次席補佐官はX(旧ツイッター)で、ベネズエラは「記録にある限り米国の富と財産の最大の窃盗」をはたらいたとまで断じた。
 これ以前、ベネズエラに対する米国の介入は麻薬戦争、とりわけ合成麻薬「フェンタニル」対策の一環として位置づけられていた。
 トランプ政権は同月、米国は麻薬カルテルとの「武力紛争」に入っていると米議会に通知した。すでに1期目の2020年3月、米司法省はマドゥロ大統領らを「麻薬テロ」を共謀した罪などで訴追している。米国はこれまでにベネズエラ近海で数十隻のボートを攻撃し、100人以上を殺害している。
 不都合な真実は、ベネズエラは実のところ、2021年以降25万人超の米国人を死亡させてきたフェンタニルの供給源ではないことだ。米国務省や米麻薬取締局(DEA)によると、ベネズエラは主にコカインの通過国である。
 フェンタニルは圧倒的多くがメキシコで生産されていて、原料となる前駆物質は中国やインドから調達されている。大半は合法的な入国港を通じて米国に流入しており、それを担っているのもほとんどが米国人だ。米国のリバタリアン系シンクタンク、ケイトー研究所が政府データを調査したところ、米国で2024年にフェンタニル関連で有罪判決を受けた被告の5人に4人(8割超)は米国市民だった。
 真の問題がフェンタニルでないとすれば、投資家はこう問うべきだろう。「なぜベネズエラで、なぜ今なのか」と。筆者の考えでは、答えは麻薬よりもエネルギーとパワー(力)にはるかに深く関わっている。

「ドンロー主義」
 トランプ政権は2025年12月、中南米など西半球への域外大国の干渉を拒否する19世紀のモンロー主義を正式に復活させた。
 21世紀版モンロー主義、トランプ政権の位置づけでは「トランプ補論(Trump Corollary)」、ほかでは「ドンロー主義」とも呼ばれるこの方針では、米州での米国の支配的地位を強調するとともに、グローバリゼーションの影響を拒絶する姿勢を打ち出している。
 この視点から見れば、ベネズエラにこだわるのはそれなりに理屈が通る。ベネズエラは天然資源に恵まれており、石油の確認埋蔵量は約3030億バレルと世界最大で、米国の6.5倍超にのぼる。
 長年、米国の制裁を受けてきたマドゥロは、政権延命のために中国やロシア、イランとの関係強化に傾斜した。現在、ベネズエラ産原油の大半は大幅な割引価格で中国に流れており、多くは制裁逃れのための秘密契約を通じて輸送されている。
 あるベネズエラ専門家は、米州の資源国が中国やロシアと取引するのは「トランプの世界観にあまり合致しない」と述べている。

世界経済の生命線であるディーゼル燃料
 ここで話は石油、とりわけディーゼル燃料に行き着く。
 ベネズエラ産原油は、比重が大きく硫黄分も多い「重質サワー原油」として有名で、精製するのが難しい。何十年にもわたり、とくに米国では、この種の原油を処理するために複雑な製油所が特別に設計されてきたほどだ。
 この点が問題になるのは、重質原油は世界経済の生命線であるディーゼル燃料の生産で、不釣り合いなほど重要な役割を果たしているからだ。ディーゼル燃料は、トラック、船舶、鉱山機械、農業など、さまざまな産業の動力源になっている。
 ディーゼル燃料の価格が急騰すると、すぐあとを追ってインフレが続いてきた。たとえば2022年2月、ロシアがウクライナに対する全面侵攻を始めると、重質原油とその精製製品の流通が混乱し、ディーゼル燃料の価格が跳ね上がった。その結果、世界中で食料品やその他の消費財が値上がりした。
 トランプによる封鎖命令後、ベネズエラ側は、石油輸出は正常に行われていると主張した。しかし取引が滞れば、影響はベネズエラや南米にとどまらず世界経済全体に波及するだろう。

「ディーゼルショック」は過小評価されていないか?
 2025年、原油価格は大幅に下落した。中国での需要減退や供給過剰への懸念が重しとなり、北海ブレント原油の先物は年初来で約20%値下がりした。
 一方で、国際エネルギー機関(IEA)によると、ディーゼル燃料を含む中間留分の在庫は多くの地域で記録的に逼迫した状態が続いている。
 なにも筆者は、原油価格がすぐに急騰すると予測しているわけではない。だが、ディーゼル燃料に起因するインフレリスクは市場で過小評価されていると考えている。そして政府がインフレリスクを過小評価すると、対応が遅れ、結果として過剰な引き締めになりがちだ。こうした展開が市場にとって良い結果になったためしはほとんどない。
 そういうわけで筆者としては、たとえ原油価格が下落していても、実物資産への分散投資は引き続き魅力的だと判断している。

金による分散投資
 このコラムで何度も論じてきたとおり、不確実性やインフレリスクが高い時期に、歴史的に良好なパフォーマンスを示してきたのが金(ゴールド)である。金価格は2025年末にかけても上昇し、12月26日には1トロイオンス4500ドル超と史上最高値を更新した。年初来では約65%上昇し、株式、債券、商品を含む主要な資産クラスの大半を大きく上回る上げ幅となった。
 要因としてはまず、金融政策が金を浮揚させる方向に転じつつあることが挙げられる。歴史的に、利下げ局面やバランスシート拡大の時期は金にとって追い風となってきた。
 米ドルも下落基調にある。ドル安もまた、伝統的に金にとって最も信頼できる追い風のひとつとなってきたものだ。
 さらに、地政学リスクは依然として高く、それはベネズエラ情勢に限らない。国際的な金業界団体であるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、ロシアとウクライナをめぐって続く緊張、中東情勢、複数の地域で高まる不安定性などに言及している。
 こうした理由から、筆者としては引き続きポートフォリオの10%を金に配分することをお勧めする。うち半分を現物の金地金、残り半分を高品質な金鉱株に投資するのが望ましい。年に少なくとも1回はリバランスを行うこともお忘れなく。>(以上「forbes」より引用)




トランプ米政権はなぜ今ベネズエラを攻撃するのか? エネルギーと力からの読み解き」との論評をFrank Holmes(フランク・E・ホルムズ 米国の実業家・投資家)氏が寄稿している。
 ちなみに各国メディアが伝える各国の反応は以下の通りだ。
「中国外務省は3日、コメントを発表し「アメリカの覇権的行為は国際法に著しく違反し、ベネズエラの主権を侵害しており、地域の平和と安全を脅かす」として強く非難しました。
 一方、イギリス・フランス・ドイツの首脳もそれぞれ声明などを出し、マドゥロ氏の拘束を肯定的に受け入れた一方、攻撃の正統性については評価を避けました。
 イギリスのスターマー首相は、マドゥロ氏を「正当性のない大統領」と断じ、「政権の終わりを惜しむことはない」と述べた一方、「安全で平和的な移行」に向け、アメリカと協議していくとしています。
 フランスのマクロン大統領はマドゥロ氏について「権力を私物化し基本的自由を踏みにじることで自国民の尊厳を深刻に損なった」と厳しく非難しました。
 その上で、今後のプロセスについては「平和的かつ民主的でベネズエラ国民の意思を尊重するものでなければならない」と述べ、一方的な軍事行動を強めるトランプ政権をけん制しました。」というものだ。

 日本の首相・高市氏は「日本政府として、これまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきました」 「邦人保護に万全を期するとともに、情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります」とコメントし、焦点となっている“攻撃の是非”については、コメントを避けた。
 ベネズエラ国民はどうかというと、多くの国民は独裁者マドゥロ氏の失脚を歓迎している。実際にマドゥロ政権の腐敗ぶりは凄まじく、政敵の徹底的な弾圧も国民の批判を浴びていた。

 ホルムズ氏が指摘しているように、ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量の国だ。それも重質油の原油で、ディーゼル燃料に欠かせない原油だ。そうした原油掘削は米国企業が資本投資して実現したが、ベネズエラは突如として油井の国有化を宣言して米国企業から奪ってしまった。
 そして昨今の中国やロシアと友好関係を結び、中国資本をベネズエラ政府が受け入れてきたことから、トランプ氏の怒りに火が付いた。マドゥロ氏の「拘束・拉致」により中国はベネズエラに投資した資本の回収の目途が立たなくなった。それどころか、米国が本気で怒れば一国の大統領でも「拘束・拉致」されることが明らかになった。習近平氏やプーチンは震え上がっていることだろう。

 確かにトランプ氏のやり方は「国際法」を無視している。独立国家の主権を侵害し、人権尊重の面からも逸脱している。しかし無法者同然の独裁者を廃絶する方法が他にあるだろうか。
 マドゥロ氏に選任された副大統領は米国を批判しているが、ベネズエラ国民の多くは米国の電撃作戦を歓迎している。おそらくベネズエラは近いうちに民主選挙が実施されるだろう。国外追放された前回の大統領選の野党の統一候補エドムンド・ゴンザレス氏が帰国して再選挙の実施を要請するだろう。それまで米国がベネズエラを支配する、とトランプ氏が宣言している。ベネズエラを麻薬マフィアが再び支配する国にしてはならない。

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