もはや中国崩壊は避けられない段階に到っている。

<2025年、高市政権になってから日中関係は冷え込んだ。高市早苗総理の台湾有事を巡る発言に中国が嚙みついた。その背景には中国経済の停滞がある。高市という格好の外敵を作り上げた。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説する――。

なぜ、世界第2位の経済大国がブレーキを踏まざるを得ないのか
 中国の港の風景を想像してほしい。積み上げられたコンテナの山が、巨大な貨物船に次々と載せられていく。船の吃水線は重みで深く沈み、エンジンが低い唸りを上げて岸壁を離れる。行き先はアメリカであり、ヨーロッパだ。一見すると、この光景は経済の力強さを象徴しているように見える。
  しかし、視線を港から内陸へと移すと、景色は一変する。建設途中でクレーンが止まったままのマンション群。窓ガラスが入っていない高層ビル。人影のまばらなショッピングモール。  港の活気と、街の静寂。
  二つの相反する光景が、2026年の中国経済を象徴する縮図である。海へ向かう船は「過去の惰性」であり、内陸の静寂は「未来への重石」だ。2025年末時点で出揃った主要機関のデータを紐解くと、中国経済という巨大な船が、ゆっくりと、しかし確実に減速しつつある姿が浮かび上がってくる。 
 2026年のGDP(国内総生産)成長率は、多くの専門機関が4.3%から4.8%程度に落ち込むと予測している。2025年の5%前後という数字から見れば、明らかな後退だ。
  なぜ、世界第2位の経済大国がブレーキを踏まざるを得ないのか。単なる景気の波ではない。構造的な「歪み」が限界に達しつつあるからだ。これから語るのは、数字の羅列ではない。数字が語る、国家主導型経済の限界についてである。JPモルガンの最新レポートは次のように指摘している。
 「2025年は前半の回復から一転、後半には明らかな下方シフトが見られた。北京の中央経済工作会議でも『今年は極めて異例の年だった』と結論付けられたが、2026年もその延長線上にあるだろう。中国の経済成長の源泉が根本的に不均衡なままであることは明白だ。依然として崩壊状態にある不動産セクターの中で、歴史的な輸出ブームとは対照的に、消費の弱さと投資の消失という傾向は持続する可能性が高い。我々は2026年の実質GDP成長率を4.3%(範囲:4.1~4.6%)と予測している。これは、輸出の高い伸び率によるベース効果により、2025年から減速するためである。政策は適度に支援的であろうが、大幅な利下げは見込んでいない」(JPモルガン「2026 Asia Outlook」)

2025年1月から11月、不動産開発への投資はマイナス15.9%
 その最大の原因が、不動産セクターの泥沼である。2025年1月から11月までのデータで、不動産開発への投資はマイナス15.9%、販売額はマイナス11.1%を記録した。  桁違いの落ち込みだ。
  日本もかつてバブル崩壊を経験したが、中国のそれは規模が違う。国民の財産の7割が不動産だと言われる国で、その価値が下がり続けている。「家を買えば儲かる」という神話が崩れ、人々は財布の紐を固く締めた。IMFは、今後3年間でGDPの5%を超える公的資金を投入して、売れ残った住宅や建設途中の物件を処理すべきだと提言している。 
 だが、一度冷え込んだ心理を金で温めることは難しい。不動産の低迷はそのまま国内需要の弱さに直結するのだ。家を買わなければ、家具も家電も買わない。ローンを抱えたまま資産価値が下がれば、将来への不安から貯金に走る。
  結果として、モノが売れないデフレ(物価下落)の圧力が強まる。2025年11月の消費者物価指数(CPI)はわずかプラス0.7%、生産者物価指数(PPI)に至ってはマイナス2.2%だ。

中国が直面している「国家主導」の限界
 企業はモノを作っても高く売れず、利益が出ない。利益が出なければ給料も上がらない。給料が上がらなければモノを買わない。悪循環の渦が、ゆっくりと、しかし深く経済を飲み込んでいる。
  国内でモノが売れないなら、どうするか。 
 中国の企業は、生き残りをかけて海外へ活路を見出した。それが冒頭で述べた、港の活気である。2025年の貿易黒字は1兆0800億ドル、日本円にして160兆円近くに達し、前年比で20%以上も増えた。途方もない金額だ。つまり1兆ドルの黒字は、中国の「勝利」ではない。国内経済の「不全」の裏返しである。
 「反インボリューション(内巻き)」政策、つまり過当競争を抑制しようとする政府の方針も、皮肉なことに企業の投資意欲を削いでいる。「勝手に工場を広げるな」「過剰に競争するな」と政府が命令すればするほど、企業は縮こまり、新たな挑戦をしなくなる。自由な市場であれば、儲からない企業は淘汰され、新しい産業が生まれる。しかし、国家が介入し、ゾンビ企業を延命させたり、特定の産業だけをエコひいきしたりすれば、市場の新陳代謝は止まる。中国が直面しているのは、まさに「国家主導」の限界である。

大学を出ても職がない。若年失業率は17%前後で高止まり
 2026年の中国経済を展望する上で、避けて通れないのが「若者」の問題だ。若年失業率は17%前後で高止まりしている。大学を出ても職がない。あっても給料が安い。未来を担うはずの世代が、経済の輪から弾き出されている。これは単なる経済データではない。社会の不安定化要因だ。政府は「新質生産力」というスローガンを掲げ、AI(人工知能)やグリーンエネルギーなど、ハイテク産業への転換を急いでいる。 
 しかし、「共同富裕」という美名の下で、成功した企業家が叩かれ、民間企業の活力が削がれた記憶は新しい。国家が経済の隅々までコントロールしようとすればするほど、経済は柔軟性を失い、硬直化していく。まるで、複雑な手術を繰り返してチューブだらけになった患者のように、自力で呼吸する力を失いつつあるのだ。 
 2026年、中国経済は「管理された減速」の道を歩むことになる。4%台の成長を維持するために、政府は公共投資や国有企業へのテコ入れを続けるだろう。  だが、それは問題の先送りに過ぎない。

三つの重荷を背負いながら、急な坂道を登り続ける
 効率の悪い部門に資源を集中させ、効率の良い民間部門を圧迫する。「国進民退(国有企業が進出し、民間企業が後退する)」という流れが変わらない限り、経済の基礎体力は落ちていく一方だ。私たちが見ているのは、かつてのような「世界の工場」として世界経済を牽引した中国ではない。自国の構造問題に足を取られ、貿易相手国との摩擦に苦しみながら、それでも大国の威信を保つために数字を作り続けなければならない、苦悩する巨人の姿だ。 
 ややネガティブに映るかもしれないが、これが現実である。
 不動産バブルの崩壊、少子高齢化、そして国家統制による市場の歪み。これら三つの重荷を背負いながら、急な坂道を登り続けることは物理的に不可能だ。2026年は、その「不可能」が数字となって表れる年になるだろう。輸出に頼ることも、不動産に頼ることもできなくなった時、中国に残されているのは「痛みを伴う改革」しかない。 
 不採算企業を潰し、痛みを甘受してでも市場原理を導入するか。それとも、さらに統制を強めて、見せかけの安定を保つか。岐路に立たされているのは、経済政策だけではない。国家としてのあり方そのものだ。コンテナ船が運ぶ輸出の山と、内陸に眠る空虚なマンション。

中国というエンジンの不調
 この二つの風景の間に横たわる深い溝を埋めることができるのは、国家の号令ではなく、一人ひとりの人間が自由に活動できる「市場」の力だけである。 
 しかし、現在の中国が選ぼうとしている道は、それとは逆の方向に見える。
  だからこそ、2026年の展望は、曇り空のように重く、視界不良なのだ。読者諸氏は、この巨大な隣国の減速が、世界経済に、そして日本経済にどのような波紋を広げるか、身構えておく必要がある。中国のくしゃみで世界が風邪をひく時代は終わったかもしれないが、中国というエンジンの不調は、世界経済という車両全体のスピードを確実に鈍らせていく。 
 2026年の中国経済は、構造的な「歪み」の限界に直面し、GDP成長率は4%台に減速が予測される。背景にあるのは、不動産セクターの泥沼化、若年失業率の高止まり、そして「国進民退」に象徴される国家主導型経済の硬直化だ。国内需要の弱さから輸出依存度が増しているが、これは国内の「不全」の裏返しであり、根本的な解決にはならない。習近平政権は「管理された減速」を目指すが、抜本的な市場原理の導入という「痛みを伴う改革」を避け続ける限り、未来への視界は不良のままだ。>(以上「MINKABU」より引用)




習近平、大ピンチ!2026年中国経済大展望…経済誌元編集長「成功企業叩き、若者失業率17%、不動産泥沼」国家主導型経済に限界がきている」と小倉健一氏が論評しているが、私の対中国経済に関する認識のズレは相当に酷い。
 まず表題の「成功企業叩き、若者失業率17%、不動産泥沼」からして、小倉氏と私の一部認識が違っている。もっとも若者失業率17%は中国の若者(16~24歳、学生を除く)の失業率が17%台となったのは、主に2024年と2025年の二年連続の数字だ。しかし中国経済が最も酷かったのはコロナ禍の2020年から2023年で、当時の中共政府は「ゼロ・コロナ」を目指して、片っ端からロックダウンを実施していた。当時の経済が最悪状態で、コロナ禍明けの2024年にはV字回復を期待されていた。しかし中共政府当局ですら経済統計数字で若者失業率17%と発表せざるを得ない状態だった。

 しかし中共政府の経済統計数字はデタラメというのが経済評論家たちでは常識になっている。上海ですらロックダウンしたコロナ禍の経済が成長するワケがなく、確実にマイナス経済だった、と誰の目にも明らかであった。しかし全人代で中共政府は5%成長を実現した、と高らかに報告した。
 昨年の対中外国投資は対前年比-89%で、もはや立ち直れないほどの外資流出に見舞われている。外国企業も次々と生産拠点を中国から撤退させている。日本企業でも有名どころは殆ど残っていない。その結果、外国企業の拠点となっていた広州や深圳は「世界の工場の廃墟」になっている。

 中国経済の三本柱の個人消費と投資と貿易の内、個人消費と投資が望めないため貿易に頼らざるを得ない。その貿易を牽引したのはEVと太陽光パネルだった。中共政府は外貨獲得のために供給過剰生産を行い、世界へ大量に輸出した。そのため輸入相手国から中国製EVや太陽光パネルが自国産業を破壊するとして、様々な貿易障壁を設けられるに至った。
 たとえばEVに関してはEV補助金の打ち切りや関税の引き上げ、太陽光パネルに関しても再エネ補助金の打ち切りなどが行われ、2025年の後半には失速状態に陥った。しかし好調だった前半の輸出実績と、中国内の景気後退による輸入減少により、その差額の貿易収支は過去最大の1兆ドルを計上した。

 中国経済は必ずしも世界第二位の実態を具備していない。それは目覚ましい経済成長を達成した原動力が外資と外国企業の進出だったからだ。そこで中共政府は中国に進出した外国企業の技術と製造ノウハウを盗んで、国内企業で進出した外国企業の水準と同等かそれ以上の製品を製造するようにと「製造2025」を掲げた。
 しかし進出した外国企業の多くは部材や素材を本国から輸入していたため、中国企業が製品の外形をコピーして製造しても品質まではコピーできなかった。しかも、製造の基本となる金属そのものの品質を向上させていないため、製品性能がコピー元の外国製に見劣りした。実際に中国は未だに自動車エンジンやトランスミッションは製造できないままだ。

 最終章の「中国というエンジンの不調」に到っては小倉氏と私の認識は全く異にする。小倉氏は「中国のくしゃみで世界が風邪をひく時代は終わったかもしれないが、中国というエンジンの不調は、世界経済という車両全体のスピードを確実に鈍らせていく」と警告しているが、中国経済の不調は外資と外国企業の撤退と、不動産バブルの崩壊が金融崩壊に到り、さらには金融当局の信認の下落に原因がある。それは「死に到る病」で完治は望めないし、そのことを察知した外国の投資家や企業経営者 たちは対中デカップリングこそ対中デリスキングだと認識して、早々と中国から撤退している。
 Appleでさえ生産拠点を中国からインドへと移しつつある。日本の名だたる企業の多くも中国から撤退して、日本国内回帰か中国以外の国へと生産拠点を移している。沈む前に船から鼠が逃げるというが、中国が崩壊する前に外国資本や外国企業は先を争うようにして中国から撤退して、もはや「世界の工場」は「世界の工場の廃墟」になっている。

 中国経済は手の着けられない状態になっている。このまま自由落下するか、それとも中共政府が期限を限って「自由選挙」を実施すると約束して、すべての統制を解除して自由市場経済に開放するしかない。しかし中国共産党の一党独裁体制で散々国民を搾取して来た中共の幹部たちが「暖衣飽食」の生活を捨て去られるのか。いつまでも独裁の地位に連綿とすれば国民・大衆の「怒り」が、統制社会の「恐怖」を超えた瞬間に全国一斉の蜂起となる。
 既に、その兆候はある。極寒の最中、路上生活者の凍死が日常になっている。2400万人いるという路上生活者の凍死への「恐怖」が「怒り」となり、その「怒り」が統制社会の「恐怖」に打ち勝つ時が、やがて訪れる。習近平氏は人民解放軍に向かって「俺を守れ」と命じたという。もはや中国崩壊は避けられない段階に到っている。

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